Piaキャロ2S 後編「涼子の心」 |
半端に酒に強いのは、決して幸運なことではない。 「うにゃぁ・・・もうだめぇ」 耕治のおよそ二倍の量を飲んだところで葵がダウンし、今夜の飲み会は終わりを告げた。 「葵さん、こんな所で寝ないで下さい」 テーブルに突っ伏した葵の肩を揺り動かしながら、耕治は辺りの惨状を見渡す。 「えへへへ、えへへへへへ・・・」 コップにさしたポッキーを転がして、何が面白いのかけらけら笑う美奈。 「それでねぇ・・・すごくショックだったのよぉ・・・」 テレビの中の深夜ニュースを伝えるキャスターに正対して、なにやら愚痴を言っている涼子。子供のようなその表情と口調は、彼女が酔ったとき独特のものだ。 「あ〜、なにセクハラしてるのよ」 最悪なのは、延々と絡んでくるあずさだ。今も葵に触れたのが気に入らないらしく、耳たぶを捻り上げてくる。 「痛いって。まったく揃いも揃って悪酔いしやがって・・・」 手加減なしのあずさの指をこじ開けながら、耕治は呟く。 今夜も行われた二号店社員寮恒例の飲み会は、妙にハイペースで飲む涼子につられて全員が深酒となり、耕治を除く全員が見事なまでに出来上がっていた。 世間でもっとも公然と、罪悪感なく行われている違法行為が、未成年の飲酒だろう。耕治とあずさはこの春まで高校生だったし、美奈にいたっては現役の女子高校生だ。法律でうたった飲酒可能年齢には達していない。 彼女らだけでなく、涼子と葵とて若く美しい女性だ。あられもなく酔い潰れた様は見るに堪えない。 「(だからって、俺一人がこの始末をしろと?)」 「こらぁ、避けるなぁ!」 無意味に繰り出されるあずさの拳を受け流しながら、嘆息する。それが飲み会で正気を保った者の宿命と分かっていても、我が身の不幸を嘆かずにはいられない。 「だからねぇ・・・ああいうことはよくないとおもうの」 「えへへへへ、そんなことないですよぉ」 いつの間にか涼子の標的は美奈へ移行し、美奈は相変わらず笑いながら見当外れな(と思われる)答えを返している。 「ミーナは悪くないわよぉ、悪いのはぜーんぶ耕治なんだからぁ」 直撃を与えられない耕治への攻撃に飽きたのか、あずさが横から参加する。 「やれやれ・・・運びますよ、葵さん」 ようやく身の開いた耕治は、葵を持ち上げてテーブルからベッドへと運ぶ。 「うみゃあぁぁ、悪いわねぇ〜」 「意識があるなら自分で歩いてください」 「ううん駄目ぇ、無理無理」 「やれやれ・・・よいしょっと」 平気にしているようで結構な酒の入った耕治だが、それでも女性に対して極めて失礼な一言を飲み込む分別は残っていた。小柄な美奈ならお姫様だっこで寮から店まで往復しても平気な自信はあるが、葵は細身な様で意外と肉付きは良く、特に胸周りの量感が見事である。彼女を持ち上げるのは楽な作業ではない。 「そこ、セクハラするなぁ!」 腹に僅かに当たる膨らみに意識を集中させていると、あずさが空缶を投げつけてきた。 「痛てぇ!」 葵を両手で抱えていては避けることも出来ず、スーパードライは耕治の後頭部へ命中した。 「だからねぇ、あれは変だとおもうのぉ」 「えへへへへ、そんなこと無いですよぉ」 「知らないくせに勝手いわないで下さい」 何とか三人を葵の部屋から連れ出したとき、意味不明の会話は言い争い寸前にまでエスカレートしていた。 「ほらほらみんな、喧嘩しないで。おやすみなさい、涼子さん」 動く気配の無い彼女らを隣室の前まで移動させて、涼子を部屋へ押し込もうとするが、三人は論争を止めようとしない。 「あははははは、けんかなんてしてないわよぉ」 「えへへへへへ、涼子さんの誤解を解いてるだけだよぉ」 「あなたこのままで良いのぉ?」 それどころか突然矛先が耕治へと向く。 「はいはい、誤解は解かないといけないな」 酔っ払いの戯言など気にせず、適当に返す。 「そうよねぇ。それじゃ行こうか」 「えへへへ、れっつご〜」 「あははははは」 しかしその瞬間、美奈と涼子は腕を組んで、あずさは耕治の首根っこを掴んで歩き出す。 「どこに行くって?」 「あたしの部屋」 「えへへへ、いつもそこでしてるもんねぇ」 「あははははは、いつもはあずささんのへやでしてるの?」 「・・・何をしてるって?」 戯言の中から不穏なものを感じ、耕治は立ち止まろうとする。 「いつものことだよぉ、えへへへへ」 「ほらほら、さっさと入るぅ!」 「あはははは、おじゃましまーす」 しかし女性とはいえ三人がかりで引っ張られては抵抗する術もなく、彼はあずさの部屋へ引き込まれた。 初めから来客を予定していたあずさの部屋は、耕治の目から見れば完璧なまでに片付いていた。 あずさと美奈がベッドを背に座り、涼子がテーブルを挟んで反対側に、耕治がその中間に座る。 「それでぇ、どうやって誤解だとしょうめいしてくれるのぉ?」 一息つく間もなく、涼子が舌足らずな口調で問う。 「そうねぇ・・・どうしようか?」 「えへへ、やっぱり直に見てもらうのが一番だと思うよ」 「そうね。それが手っ取り早いわね」 「ちょっと待て! 何の話だ?」 自分に重大なことが、この壊れた女性達の間で勝手に決められているような気がして、耕治は堪らず叫ぶ。 「決まってるじゃない。誤解を解くのよ」 「だから何の誤解だ?」 「涼子さんの誤解だよぉ、えへへへへへ」 「”誰の”じゃなくて”何の”だ」 「だからぁ、さっきから言ってるじゃない」 言いながら、あずさの腕が耕治の首に絡み付き、耳元で囁く。 「私達が本気だってこと」 「なっ・・・何が?」 その意味に気付いていても、反射的にとぼけながら涼子の方を向く。 「やっぱり三人でなんて変よぉ」 相変わらずへろへろの涼子だが、言ってることは耕治にとって爆弾のようなものだ。 「(気付かれた? 何で? って、倉庫のアレを見られたのか?)」 今更に自分の迂闊さに気付き、背筋が凍る。 「変じゃないですよぉ! 美奈達は愛し合ってるんですからぁ!」 膨れっ面を作った美奈が、耕治とあずさを抱きしめる。 「そうだよねぇ〜♪」 「ねぇ〜♪」 「「 んっ・・・ぷっ・・・」」 額を突き合わせた姉妹は子供みたいな同意をして、唇を重ね大人のキスを始めた。 「おいおい、止めろって!」 「あんっ」 「ぶうぅぅぅ」 耕治は慌てて二人を引き離し、キスを中断させられた姉妹は口々に不平を漏らす。 「ふにゃあ・・・」 相変わらず涼子は、普段の聡明さなど微塵もない表情で、ボヘーっと成り行きを見ている。 アルコールで思考の鈍った耕治には、涼子に対する言い訳は咄嗟に思い付かなかった。が、そもそもアレを見られたのなら、弁明のしようもない気がする。 「涼子さん。もう知っているようですが、俺は二人と付き合っています」 だから彼は、事実を包み隠さず打ち明けることにした。 「俺達の関係が、世間と比べて異質ということは分かっています。でも俺は決していい加減な気持ちで二人と・・・って何やってんだよ!?」 一人で真面目な話をする耕治を無視して、日野森姉妹は彼のGパンのファスナーを下げて息子を取り出していた。 「うだうだ話すより、実際に見せた方が早いわよ」 「そうそう。美奈達の愛し合う所を見せてあげよう」 「だから何故そうな・・・うはぅっ!」 耕治の怒鳴り声は、美奈がナニを口に含み黙らせた。 「んっ、んぶっ、ぢゅっ・・・ぽはぁっ」 耕治しか男を知らない分、彼専用に熟練した美奈の口技は、柔らかかったものを瞬時に硬化させ、口の中で完全に勃起すると一旦外に吐き出す。 「「ちゅっ、ちゅぷっ、ぴちゃっ」」 そして姉と左右から唇で挟むと、亀頭越しに口付けするように吸引しながら舌を這わせ始めた。 「くっ・・・止せって二人とも・・・はうっ!」 一応口では止めようとする耕治だが、圧倒的な快楽に圧されて情けない声しか出ない。 「ほえぇ・・・」 耕治の男根と日野森姉妹の唇が絡む光景を、涼子はぼーっとした表情で、しかし瞬き一つせずに見詰めている。 「あの・・・そんなにじっくり見ないで下さい、涼子さん」 耕治の言葉など、聞く耳持たない。 「(よりにもよって涼子さんの前でこんな・・・いや、見られるのも結構興奮するかも・・・って駄目だ、俺も酔ってる)」 自分では正気のつもりでも、酒のせいかまともな抵抗が出来ない耕治は、知り合いの女性の前で痴態をさらすのに妙な興奮を感じ始めていた。 「「ぷふぅ・・・ちゅっ」」 ナニが更に怒張するのを感じた姉妹は、フェラチオを一旦止めて離れ際にキスをすると、二人同時に服を脱ぎ始めた。 「のへぇぇ・・・って何脱いでるんだよ!?」 酒と快楽に酔った耕治は、姉妹の肌が露わになっていくのをボーっと眺めていて、シルクの下着の眩しさでようやく我に帰る。 「Hするんだから、脱ぐのは当然だよ」 「それはそうだ・・・っていや、人前でするのが問題な訳で」 「ここまで来てうだうだ言わないの」 虚しい抵抗をする耕治をベッドの上に追いやり、姉妹は可愛い顔に妖艶な表情を浮かべて、輝くような裸体を耕治の上へ覆い被せてきた。 「ほら、あなたの好きなの見せてあげるから」 「ほらほらお兄ちゃん、おっぱいですよぉ」 まだ戸惑った表情を見せる耕治に、姉妹は子供をあやすように言いながらブラジャーを取り去った。下着から開放された四つの若い乳房が弾けるような弾力を示し、彼の眼前に晒される。 年相応に育ったあずさの乳房は、成熟寸前の微妙な年頃に相応しく、なかなかの量感ながら上向きの張りを持ち、完璧なまでの美しさを誇っていた。美奈の乳房はまだ幼いが、未来の可能性をはらんだ緩い膨らみは胸が張り裂けるほど愛らしく、また姉に劣らないほど美しい。 俗に『おっぱい星人』と呼ばれる属性を持つ耕治にとって、二人の乳房を独占できるのはこの上ない幸福だった。 「はあ・・・」 何度見ても全く見飽きない美乳達に感嘆の息を吐き、彼は状況を忘れてしばし魅入る。 「あらあら〜、ふたりとも大胆ねぇ〜」 涼子の呑気な一言で一応我に帰るが、熱に犯された彼はもはや抵抗する気が失せていた。 「じゃぁ〜、わたしも負けないように脱ぐね〜」 酔った涼子には脱衣癖がある。 「何故そうなるんです? ってもう脱いでるし」 口だけでも止めようとするが、既に彼女は下着しか纏っていなかった。 色白の滑らかな肌、深い谷を作る豊かな胸、括れたウエストと大き目の腰の描く美しいライン。同じ細身の女体でも少女達のとはどこか違う、成熟した女性の見事な肢体が、水色の上下揃いの薄布二枚に飾られて耕治の目に入る。 「あ〜、何見てるのよ」 「ぶぅぅぅ、お兄ちゃんのえっちぃ」 思わず見蕩れていると、嫉妬した姉妹は自分達の身体で涼子を隠し、胸を耕治の顔近くまで持っていく。 「うりうり」 「ぷにぷに」 妙な擬音を口にしながら、白い乳房を耕治の頬に擦り付ける。 「(あぁ・・・俺って駄目な奴・・・)」 自分の情けなさに気付きながらも、欠片ほど残っていた彼の理性は霧散した。 「ちゅっ・・・ちゅぅっ」 頭の中で何かが切れ、第三者の目を忘れて両手で姉妹の乳房を揉み、乳首へ交互に吸い付く。 「んっ・・・」 「あんっ・・・」 快楽の吐息を漏らしながら、姉妹は耕治の邪魔をしないように、共同で服を脱がせていく。 上半身裸にしてもらった耕治は姉妹を抱き寄せて反転し、二人をベッドに横たえると、トランクスごとGパンを脱ぎ去った。 「あぁんっ」 「はぁっ」 更に愛撫を受けながら、姉妹は圧し掛かる耕治の股間からぶら下がる剛直に手を伸ばし、しなやかな指で愛撫を返す。 そのまま緩い刺激を与え合い、全員の性感を高めていくと、感じやすい姉妹はすぐにショーツに染みを浮き出させる。無言で目を合わせただけでそれを悟りあった姉妹は、同時に汚れた下着に手を掛けて腰を浮かす。 「うふっ・・・」 「えへへ・・・」 数え切れないほど肌を晒したのに、異性に肌を晒すのはやはり恥ずかしいらしく、姉妹は照れ笑いを浮かべて一瞬躊躇ってから最後の一枚を脱ぎ捨て、腿をぴったり閉じて秘部を隠す。その表情の愛らしさに魅せられながら、耕治は指で二人の股間を確かめる。 「あふっ!」 「はぁんっ!」 軽く擦られるだけで更に蜜を溢れさせる姉妹は、快楽に男根への愛撫を鈍らせるが、耕治にとっては二人の感じる反応こそが最高の愛撫だ。それを知っている美奈とあずさは素直に性感を表情に表し、耕治が触りやすいように徐々に股を開いていく。 「あくっ! おにいちゃ・・・ふぁん!」 既に股を全開にした美奈は、それでも足りないのか腰まで浮かせて、耕治に向けて秘部を差し出す。少女に相応しくないはしたない姿と、少女らしい恥じらいの表情のアンバランスさが非常に卑猥だ。 「んっく・・・耕治ぃ・・・・」 妹ほどに大胆になれないあずさだが、それでも大きく股間を開いて手を迎え、涙の浮かんだ瞳で切なげな視線を耕治に送る。 二人が十分に濡れ、自分も十分以上に興奮すると、耕治は愛撫の手を止め美奈の肢体を持ち上げてあずさの上に乗せた。 「「あはっ!」」 耕治に促されるまま身体を重ねた姉妹は、胸と股間を密着させるとそれだけで揃って嬌声を上げ、秘所から粘着音を立てる。 「「んんっ・・・あぁんっ! ふぁっ!」」 身を捩って肢体を擦り合わせると、淫靡な合唱が姉妹の口から零れる。 二人の慰め合う姿を見るのが、耕治は大好きだった。少女達の瑞々しい肢体が艶めかしく絡む光景は、この世のものとは思えないほど美しい。それをいつまでも眺めていたい願望と、一刻も早く参加したい衝動を同時に感じながら、彼は瞬きする間も惜しんで愛し合う姉妹を見詰める。 「耕治ぃ・・・あぁ」 「お兄ちゃぁん・・・」 しかし二人が言葉と視線で彼を誘うと、瞬時に参加への衝動が勝り、美奈の尻を抱くと重なり合う媚肉の間へ分身を進入させた。 性器を潜めた割れ目、熱い襞、尖った肉芽、繊毛、脂の薄い腹。少女二人のそれら全てが熱く濡れ、耕治を迎え入れる。 「「ふっ・・・あぁっ!」」 女同士の柔らかい感触に男の硬さが分け入ると、姉妹は股間で上下から男根を挟み、それぞれに秘裂を擦り付ける。 「はぁ・・・」 その感触に酔いながら、彼は姉妹の間を剛直で行き来する。 それぞれに脳の溶けるような快楽を感じる三人だが、それすらも本格的な結合の愉悦には遠く及ばないのを彼らは知っていた。だがしばらく性器を擦り付け合い、緩い快楽を分け合う。 「あっ・・・はんっ! お兄ちゃん、美奈・・・もうっ!」 その焦らし合いは、堪え性のない美奈が最初に音を上げ、切羽詰まった声で耕治を求める。 「私も・・・欲しい!」 妹に触発されて、あるいは妹が先に言うのを待っていたのか、すぐにあずさも欲情を声に出す。 同様に欲望を堪えていた耕治は、先におねだりした美奈へ入り込む。 「ふあっ! あはぁぁっっ!」 愛する男が入ってくる感触に、美奈は姉を固く抱き締めながら歓喜の嬌声を上げる。 「くぅっ、美奈!」 食い千切るような歓迎の締め付けに耐えながら、耕治は美奈の胎内を二十往復して男根を引き抜き、そのすぐ下のあずさへ挿入する。 「ああっ! ああぁぁぁぁっ!」 待ち望んだモノが進入すると、あずさも妹を抱き締めながら悦びを声に出す。 「はぁっ、あずさ・・・!」 美奈とは違う、うねり蠢くあずさの締め付けに、耕治も喘ぎ声を漏らす。 「あぁんっ! おねえちゃぁん」 行為の途中で中断された美奈だが、二人の繋がる部分へ自分も秘所を擦り付けて参加しているので、寂しくはない。 あずさの胎内を美奈と同じ回数往復した耕治は、引き抜くと再び美奈の胎内へ。 「うあっ! あぁぁぁっ!」 「ふあうっ・・・みーなぁ!」 再び耕治を迎えた美奈は自分から腰を振り、あずさもそこへ性器を擦り付ける。 そのまま耕治は、抱き合う姉妹を交互に行き交う。 目の前で愛し合う三人に、涼子は視線を釘付けにされていた。 「凄い・・・」 激しい交わりに生唾を飲み、感想が無意識に口に出る。 絡み合う肢体。汗で濡れた若い肌。姉妹の発する派手な嬌声。淫靡な女の匂い。引き抜く度に見える耕治の巨大な男根。快楽に酔った三人の表情。 性には消極的な、はっきり言えば奥手な彼女が、そんなものを間近で見ているのだ。平気でいられる訳が無い。 腹の奥から湧き起こる、奇妙な熱。倉庫で覗いた時は無理矢理無視したが、酒の入った今はそれを自覚するのに抵抗が無かった。 「・・・あっ?」 指先に触れたショーツの濡れた感触で、涼子は自分が股間へ手を伸ばしているのに気付く。が、自分が何をしているか理解しながら、酒と熱に酔った彼女は欲望に動かされる右手を止められない。 身体を洗うとき位しか触れないそこを、恐る恐るなぞる。 「あっ・・・ああぁっ・・・」 興奮しきったそこは軽い刺激でも過敏に受け止め、信じられないほど甘美な感覚が背筋を駆け上る。 「はっ、あっ、あぁっ、はあっ・・・」 性行為に慣れていない彼女がその感触に耐えられる筈もなく、更なる刺激を求めようとするが、自慰すら滅多にしない彼女にはその方法が分からず、とにかく右手の速度を早めるしかない。 「はっ、はっ、はっ! はぁっ、はっ、はんっ!」 だが幼い行為でも身体はそれなりに欲求を満たされ、彼女は獣のような息を吐きながら、我を忘れて股間を擦り続けた。 「あっ! うあっ・・・はっ、あんっ!」 熱く狭い、美奈の胎内。 「はぁう! あっ、あっ、あっ、あぁっ!」 熱く吸い付く、あずさの胎内。 締まり方は微妙に違うが、どちらもこの上ない甘露で、耕治は姉妹の肢体を夢中になって、だが均等に分け隔てなく貪る。 重なり合う乳房の間に掌を差し込むと、汗の浮いた滑らかな肌に包み込まれた。左右互い違いに入れた手の甲と掌に感じる肉球は、それぞれ量感も柔らかさも違うが、どちらも気が遠くなるほど心地良い。 「美奈・・・あずさ・・・」 少女達の肢体に更に酔いながら、乳房の柔らかさの中に固く存在を示す突起を指の間で挟み、姉妹の乳首を擦り合わせてやる。 「「あふぁっ! あっ・・・」」 その刺激で悶えると、姉妹の唇が偶然触れる。 「「んっ、ちゅっ、ちゅっ・・・んんんっ」」 顔を突き合わせながら何故かキスを忘れていた二人は、遅れを取り戻すように激しく肉親の唇を貪る。 いつでも射精できるまで高まり、姉妹もキスで一気に駆け上ったのを察した耕治は、美奈の胎内を更に激しく、規定の回数を過ぎても犯す。 「んっ、んっ、んっ・・・んんんんんんっ!!」 その刺激であっさりと昇り詰めた美奈は、あずさと唇を重ねたまま絶頂の悲鳴を上げた。 「うはっ! くぅぅっ・・・」 頂点の締め上げに喘ぐ耕治は何とか射精を堪え、分身が落ち着くのを美奈の胎内で待つ。が、ぴくぴく蠢く膣壁はじっとしていても射精感を衰えさせない。 「んっ、んんっ、んっ・・・」 その間あずさは舌で口腔内を、両手で背中を、秘所で秘所を愛撫して、妹に絶頂の余韻を十分感じさせてやる。 何とか暴発の危機が去るまで落ち着いた耕治は、美奈から男根を引き抜き、あずさの膣内へ。 「んっ! んんんっ!」 あずさは進入と同時に優しく、あるいは手荒に締め付け、耕治を歓迎する。 自由に開放できない快楽は、ある意味苦行に近い。耕治はあずさが早く達するのを願いながら、凄まじいまでの射精感に耐えて腰を使い、肉欲の天国と地獄を同時に味わう。 「(まあたとえ射精しちゃっても、イかせる方法はいくらでもあるんだけどな)」 それに気付いていても、彼は愛する少女を分身で達しさせることに執着する。 「ん! ん! ん! んは! あっ!!」 やがてあずさが全身を痙攣させ、限界を身体で訴え始めた。待ち望んだ瞬間が見えると、耕治は最後のスパートをかけて終点へ飛び込む。 「うおっ! おおおおっ!!」 今日三度目とは思えないほど大量の精をぶちまけながら、耕治は咆哮を上げてあずさに腰を打ち付け続ける。 「あっ! あっ! あっ! あああぁぁぁぁっ!!」 一瞬遅れてあずさも、精液の熱と身体を抉られる刺激で昇り詰めた。 「あっ、はっ、はっ、あっ、はっ、ふあっ、あっ」 布の上からの刺激では物足りず、涼子は下着に両手を入れて股間を擦っていた。 ここまで濡れた秘部を触るのも、全身に周った異様な火照りも、涼子にとって初めての体験である。自分が自分でなくなったような錯覚を感じ、人前での自慰の抵抗を麻痺させていた。 やがて胸の熱にも耐えられなくなり、左手で乳房を掴むと、そこから新たな甘い刺激が沸く。 「あは! あっ、あっ、あぁっ!」 目の前で悶える美奈とあずさに習い、自分も嬌声を口に出してみると、更に快楽が増した気がする。 行為の終わった三人の視線が自分に集中しても、熱を帯びた肢体は止まらない。 美少女姉妹の肢体に集中していた間でも、すぐ横で涼子が自慰をしているのは、視界の隅で認識していた。 涼子のような美人が、自分達の行為を鑑賞しながら自慰をするというのは、彼女まで性交に参加しているようで、異常なまでの興奮を感じた。が、愛する少女たちとの交歓が一段落して、改めて涼子に視線を向けると、その迫力に圧倒すらされる。 普段の涼子は聡明で知的な感じのする女性なだけに、今の乱れ様とのギャップは凄まじい。 耕治だけでなく美奈やあずさまでこの場にいるというのに、涼子の一人遊びは止まらない。 「あっ、あぁっ! 嫌! いやぁっ!」 人として最も恥ずかしい行為。それを見られているのを自分でも理解しているのか、涙を流して拒絶の言葉を吐き、頭を振って髪を振り乱すが、それでも彼女の手は意志に反して更に加速し、腰までもそれに合わせて蠢き始める。 「あく! あ! つああっ!」 股間を擦る右手に負けず、左手も豊かな乳房を激しく嬲っていた。自分の感じる愛撫すらよく知らない彼女は、とにかく刺激が欲しくて右胸を過剰な強さで揉み、痛みと快楽に泣く。自虐的な手の動きにブラジャーがついてこれなくなり、乳房が弾け出ると、露わになった片乳を更に強く変形させる。 「ごくっ・・・」 耕治の耳に、誰かが生唾を飲む音が聞こえる。目を向けると、美奈とあずさも涼子の独り舞台に目を奪われ、食い入るように凝視していた。 再び涼子に目を戻すと、彼女と視線が合う。涙で濡れた瞳は眼鏡の向こうからトロンと見返していた。その妖艶さに寒気すら感じるが、不意に焦点が合うと羞恥に目を逸らす。 「んっ、見ない・・・で・・・はあぁぁっ!」 新たな涙を流し、喘ぎ声に混ぜて消え入るような懇願をするが、その表情の色っぽさに魅せられた耕治、いや三人は、全く目を逸らさない。 「あはっ! あっ! あっ! あっ!」 三つの視線を浴びながら、涼子の行為はクライマックスを迎えた。喘ぎが切羽詰まったものになり、全身が震える。丸まっていた背中が徐々に伸びていき、突き出された乳房が上下に激しく弾む。背筋に続いて喉が仰け反り、涼子の顔が天井を仰ぐ。 「あ! あ! あ! あああぁぁぁぁっ!!」 そして三呼吸後、涼子は最後の絶叫を上げた。嬌声が長く伸びる間全身を硬直させ、不意に糸が切れたように前のめりに崩れ、額をカーペットにつけた。白い背中が熱い息で荒く上下し、突き出た尻が快楽の余韻に震えている。 「ごくっ・・・」 今度の生唾の音は、耕治の喉から鳴った。知り合いの美人が自慰で激しく達するのを目の前にして、今日三度出した男根もはち切れんばかりに隆起している。 丸くなった涼子の発する女の香りか、荒い吐息か、震える尻を包むショーツか、背中を横切るブラジャーの紐か。それらどれか、あるいは全部に誘われて、耕治は彼女の肩に手を伸ばす。 「あっ・・・」 汗の浮いた肌に触れると、涼子は弾けるように顔を上げた。頬はまだ紅潮していたが、行為が終わって正気を取り戻した瞳は、羞恥と戸惑いで泳いでいる。 下を向いていた為に、あの激しい動きに耐えた眼鏡がずれていた。それを外してやりテーブルの上に置くと、耕治は不意に涼子を抱き上げた。火照りの消えていない肌と、汗の香りが心地良い。 「え? あ、あの・・・」 不安定な状態にされ反射的に両手を首に回す涼子を、ベッドの上にそっと横たえると、恋人達の目の前で他の女性に触れる蛮行に気付きながら、耕治は何故か平気で彼女の肌を撫で始めた。 「ひゃんっ!」 まだ肢体が敏感なままの涼子は、軽い愛撫だけで甲高く鳴く。その声と不安そうな表情が可愛く・・・そう、相手は年上なのに狂おしい程可愛く、耕治は更に肌に手を這わす。 腹から太股へ、再び腹を通って胸元へ、思い切り揉みたい衝動を堪えてはみ出た右乳房の表面を通り、鎖骨から首筋へ。手に吸い付くような、滑らかな手触り。美奈やあずさ達少女の肌との違いが、成熟した女性の脂の乗った肌と呼ぶのだろう。 「あう、耕治く・・・んあ!?」 その手触りに夢中になっていると、左右から新たな手が伸びてきた。「あずさ・・・さん、美奈ちゃ・・・あん!」 熱に浮かされたような表情の美奈とあずさが、耕治と同様に、それ以上にしなやかな手付きで涼子の肌を撫でる。 涼子に触れるのに躊躇いがなかったのは、こうなるのが分かっていたからかもしれない。耕治がそう思っている間に、二本の男の手と四本の少女の手により、一人の女性は乱れさせられていく。 「あはぁっ! いや、いやぁぁっ!!」 同性の愛撫は初めてだろうが、異性の愛撫にも慣れていない。涼子の過敏な反応を見て、耕治はそう直感した。 泣き叫ぶ口とは裏腹に、両手は身体を這う手を払い除けずにただシーツを握り締め、のた打ち回る両足は少しずつ左右へ開いていく。 「ごくっ・・・」 また生唾を飲む音。それが誰のものか、自分のものかすら、興奮しきった耕治にはもはや分からない。 何となく美奈とあずさを見渡すと、彼女らも視線を向ける。一瞬目が合っただけで意志を疎通した三人は、同時に涼子から手を放す。 「あっ・・・やぁっ・・・」 望まない刺激から開放された筈なのに、涼子の漏らした吐息は明らかに失望からだった。それでもはしたないおねだりをする勇気のない彼女は、ただ懇願に濡れた瞳を向ける。その期待を裏切らないように、三人は彼女の身体に残った下着をそれぞれに脱がせていく。 美奈は涼子の背中に手を入れホックを外し、既に半分脱げていたブラジャーを。あずさが腰に手を入れると、涼子は素直に尻を浮かせ、ぐっしょり濡れたショーツを脱がせてもらう。出遅れた耕治はしかたなくソックスを脱がせるが、現れた白い足の美しさは残り物という意識を跳ね飛ばす。 涼子を一糸纏わぬ姿にした三人は、一旦離れてベッドの上の彼女を揃って鑑賞する。 「はぁ・・・」 全裸の涼子はぐったり横になって目を閉じ、すべてを諦めたように肢体を隠さない。 「何か・・・凄いね」 「ああ・・・」 「ええ・・・」 目の前に晒された美女の裸体に、今更に美奈が呟くと、耕治とあずさも同意する。 色素の薄い体質なのだろう。脱色しなくても薄い色のストレートヘアが、ベッドの上に大きく広がっている。雪のように白い、と言いたいが今は紅潮してピンク色の肌は、抜群のプロポーションもあって日本人離れした妖艶さを溢れさせている。 普段から豊かであろうと予想していたが、直に見た乳房は想像以上に大きく、仰向けになってもまだ見事な量感が二つ膨らんでいる。淡い桜色の乳輪は、十分な性経験のある美奈やあずさより綺麗かもしれない。乳首は結構大きいが、色のせいか切なげに起立した姿は可憐でしかない。 陰毛は、濃い。というより、耕治にとっての比較対象である日野森姉妹が薄いだけで、この位が普通だろう。本来は他の体毛同様薄い色だろうが、今は濡れて黒く輝き、白い下腹部とコントラストを見せている。軽く開いた股間からは、乳首同様まだ少女の色の秘裂が覗く。 大人の女性の色香に、耕治だけでなく美奈とあずさも改めて圧倒されるが、呼吸に合わせて艶めかしく上下する胸を眺めていると、自然と手が引き寄せられ、心臓の上の膨らみに触れる。 「んっ・・・」 涼子の乳房は、汗のせいか少しひんやりとしていた。初めは軽く、少しずつ強く揉む。成長中の少女の芯の残った感触とは違い、どこまでも柔らかい。指が乳首の上を通ると、勃起したそれはぴんと弾ける。 脳の蕩けるような感触にのめり込んでいると、美奈が反対側の乳房を揉み始めた。 「ふっ・・・あっ・・・」 漏れ出た喘ぎ声が引き金になり、耕治は魅惑の膨らみにしゃぶり付く。汗の塩味が微かに効いた、女性の甘い風味がする。乳房全体を一通り舐め回した後、乳首を唇に含んで吸い上げた。 「んっ・・・くっ・・・」 激しい口撃を受ける涼子は、嬌声が出そうなのを右拳を口に当てて耐える。 「涼子さんのおっぱい、綺麗・・・ちゅっ」 耕治に習って右乳房に顔を寄せた美奈は、呟くと揺れる乳首に口付けした。 「あはぁうっ!」 その瞬間涼子の忍耐は限界を超え、甲高い声が口から溢れ出る。 「あっ、あっ、あっ、ああぁぁっ!」 一度悶えてしまうと抵抗がなくなり、涼子は派手に鳴きながら両手で耕治と美奈の頭を抱く。乳房に口を押し付けられた二人も、それに答えて更に乳首をしゃぶり、吸い、噛む。 恋人と妹が上司を責める様子を眺めていたあずさは、頃合いを見て彼女の足を押し開き、股間の中心の秘裂を確かめた。 複雑な形をしたそれは、いつも見ている美奈の割れ目を蕾と喩えるなら、大輪の肉の花といったところか。この卑猥な形状が大人の性器なのだろうが、涼子のそれは充血してもなお可憐な桜色をしていた。まだ少女の美奈よりも、おそらく自分よりも。それに少しだけ嫉妬し、少しだけ欲情したあずさは、足の間に顔を入れる。 「あっ! あぁ・・・駄目」 耕治らの身体越しにその気配に気付いた涼子は、目を見開いて拒絶する。が、足は全く力が入らず、あずさが軽く押さえているだけで大きく開脚したままだ。 「お願い、そこは・・・」 この期におよんで何を言ってるのだろう、とあずさは思う。声だけは必死だが身体の伴っていない、説得力のない拒絶は、誰も従わないだろう。 「汚い・・・から・・・」 それを聞いて、なるほどと納得した。べちょべちょに濡れ卑猥な匂いのする股間は、見る者によっては汚いと感じるかもしれない。だが妹との行為に慣れたあずさは、そこが汚れているとは微塵も思わない。 「そんなことありませんよ。涼子さんのここ、とっても綺麗です。ちゅっ」 陳腐だが本心からの言葉を述べて、蜜の滴る内腿に口付けをする。 「きゃうっ! だめ、だめぇ・・・」 「ちゅっ、ちゅっ」 甘えた声を無視してキスを繰り返し、少しずつ中心へと近づいていく。 「あうんっ! はうっ!」 喘ぐのに忙しい涼子は、唇の向かう先に気付いているだろうか? 「ちゅっ・・・」 そしてあずさは、涼子の下半身の唇と口付けした。 「くあぁっ・・・!!」 触れるだけのキスで、涼子は身体を仰け反らせる。 美奈のより濃く感じる、淫靡な涼子の味。少しだけ長いキスでそれを味わい、唇を離すと粘液の糸が橋を作る。それが切れない内に再び口付けし、舌先で淫核を探し出して舐め回す。 「はうっ! かはぁっ!」 何をしてもいちいち叫んでいた涼子は、背筋を仰け反らせて更に声を張り上げる。それをうるさいと思わないあずさは、今度は舌を尖らせて秘裂に挿入する。 「ひっ! ああぁぁっ!!」 その瞬間進入を拒むように膣口が締まり、涼子の股が閉じてあずさの頭を挟むが、あずさは舌先に力を入れて締め付けに逆らい、涼子の胎内を舐め回す。 「かはっ! あ! あ! あ!」 舌先で四,五回ほど円を描くと、不意に涼子の全身が、実にあっさりと、びくびくと痙攣を始めた。伸びた爪先がシーツを捩れさせ、膣口が舌を痛いくらい締め上げる。腰が跳ね上がって口元を打つが、あずさはディープキスを止めない。 「あ! あ! あ! あああぁぁぁぁっ!!」 今まで聞いた涼子の声の中で、最も甲高く甘い嬌声。それを心地よく聴きながら、それを発している今の彼女の表情を見れないのを残念に思う。 「ぷあっ?」 ぴくぴく蠢く粘膜を味わっていると、不意に液体が勢い良く吹き出し顔にかかる。 「(おしっこ? じゃなくて、潮吹きか)」 愛液の顔面シャワーにあずさは驚くが、同じ物を美奈から受けた事があるので、顔を背けることなはい。 あずさの顔を濡らした奔流は、数条飛び出てからちょろちょろと流れ続ける。その量が涼子に与えた快楽に比例しているように思え、あずさも深い満足感を得る。 「あはっ・・・あっ・・・はぁっ・・・」 潮吹きが終わっても涼子は長い間痙攣を続け、しばらくしてようやく収まった。浮いた腰が脱力してベッドに落ち、唇が置いて行かれて舌が引き抜かれる。再び引かれた蜜の糸を切れるまで眺めてから、あずさは顔を上げる。 顔の液体を拭ってから頭上を見ると、耕治と美奈が飽きもせずに涼子の乳房を貪っていた。あずさに向けられた二人の股間は、美奈のは溢れる愛液で、耕治のも勃起した男根から出る先走りで濡れ光っている。 興奮した二人は愛撫を止める気配を見せず、立て続けに二度達して潮まで飛ばした涼子は疲労と脱力にぐったりしているが、強制的に送られる快楽から開放されない。 「ああ・・・ああ・・・」 刺激を絶え間無く送り込まれ、涼子は掠れた声と身悶えで反応していた。 涼子の乳房は姉のより豊かで、それ以上に柔らかかった。 「(お母さんの味がする・・・)」 実母の記憶に乏しい美奈は、涼子の味をなぜかそう思う。姉のと似ているが明らかに違う、甘く塩っぽいミルクの味。恋人と一緒になってそれに夢中になっていると、彼と一緒に赤ん坊に戻ったような、奇妙な錯覚を覚えた。 随分早く達した涼子から姉が離れると、耕治が入れ違いに脚の間へ身体を入れた。隆々と起った男根から、何が目的かは一目瞭然だ。 三人での行為に慣れた為か、酒で感覚が麻痺した為か。目の前で愛する男が他の女性と繋がろうとしているのに、美奈は止める気が起きない。 「んっく・・・」 秘裂に男根を擦り付けられると、涼子は目を固く閉じ緊張に身を固くする。 「力を抜いて、大きく深呼吸して下さい」 涼子の経験が少ないのを悟っていた美奈は、経験の多い自分がリードしなくてはと思い、耳元で囁く。 「んっ・・・すぅ・・・」 目を瞑ったままの涼子は、年下の指示に素直に従う。 「はぁ・・・くぁぅっ!」 そして彼女が息を吐いた瞬間、耕治が慎重に、だが力強く腰を進めた。 「あぐっ・・・はぁっ!」 行き止まりに達したのだろう、しばらくして耕治の腰が止まった。身体の奥まで貫かれた涼子は苦しそうに喘いでいるが、十分に濡れていた為に耐えられない様子はない。それでも耕治は、涼子が結合に馴染むまでじっとしている。 「あふっ、耕治くん・・・」 息も絶え絶えの涼子だが、それでも必死で何か言おうとする。 「お願い、膣内には・・・出さないで・・・」 経口避妊薬を常用している美奈は忘れがちだが、女性にとってこれ以上なく重大な事。たとえ性に関しては相手の方が手慣れていても、年上である以上その辺の責任は負わなければと思っているのだろう。 「大丈夫ですよ。涼子さんがイったら、ちゃんと外に出しますから」 分かってますよと言わんばかりに、耕治は自身たっぷりに言う。が、男の安請け合いを素直に信用するほど涼子は甘くない。 「でも・・・ひゃんっ!」 なおも言葉を続けようとするが、美奈が二人の身体の間に手を入れて結合部を確かめると、堪らず甲高い声で鳴く。 「お兄ちゃんが我慢出来なくなる前に、早くイきましょうね」 美奈はにこやかに言いながら、涼子が感じるのを手伝ってやる。 「美奈ちゃん、やめ・・・んあっ!」 拒絶しようとする涼子だが、軽く撫でただけでびくんと身震いして何も言えなくなる。 使い込まれていない涼子の秘裂は、いっぱいに広がって何とか耕治を受け入れていた。そこをいたわるように、指先で優しく愛撫する。 「うっ・・・あっ! くうっ!」 反応して膣が締まる度に、涼子は苦しそうな声を上げる。が、それに混じる苦痛以外のものに気付いている美奈は、愛撫を止めない。 「はぅっ・・・あっ・・・あふっ」 やがて涼子の声の調子が甘く変わり、痛みに強ばった身体が緩む。それを待っていた耕治は、ゆっくりと腰を引くと再び押し出す。 「あっく! ふあっ!」 強烈な刺激を身体の内側に受け、涼子はその動きを抑えるように、悲鳴を上げて耕治にしがみつく。彼女の背中に手を入れて抱き返しながら、耕治は腰の律動を続ける。 「あんっ! はっ、あっ、あっ、ああっ・・・」 圧し掛かる男にしがみつきながら、涼子は相変わらず一往復毎に鳴くが、その甲高い声からは次第に苦痛の色が消え、快楽の占める割合が大きくなっていく。 少女のように耕治に抱かれながら、急速に女の快楽に目覚めていく涼子を、美奈は愛しく思う。 「涼子さん、可愛い。ちゅっ」 嬌声を上げ続ける唇に、自分の唇を重ねる。 「はむっ・・・んんっ・・・」 口腔へ舌を入れると、涼子は歯を閉じて進入を拒むが、歯茎を舐め回していると顎を開いて舌を受け入れてくれた。 酒で前後不覚に陥っていた涼子だが、既にある程度の認識能力を取り戻していた。 今までの人生で数える程しか性行為をしたことのない涼子にとって、人前での自慰や同性の愛撫は勿論、性の頂点すら初体験である。次々訪れる未知の体験に、彼女は恐怖すら感じ始めていた。次々と異常な行為をする知り合い三人と、それら全てを受け入れてしまう自分に。 奥手な彼女だが、男性経験が皆無な訳ではなく、男女の交わりなら理解が出来る。相手が耕治なら、まあ良いかとも思える。が、それは彼に恋人が居なければの話であり、その恋人(達)の前では言語道断だ。 僅かに残った理性で拒もうとするが、彼を止める立場である筈の美奈に導かれると、ついに耕治を胎内に受け入れてしまった。 快楽を得られるほど回数をこなしていない涼子は、過去の性交では苦痛しか感じなかった。しかし耕治の進入は、ほんの僅かしか痛みをもたらさない。それでも過去の経験から反射的に苦痛の表情を見せると、耕治は涼子が馴染むまで動かないでいて、美奈も結合部を愛撫してくれた。正直愛撫されると身体が反応して苦しさを感じたが、自分をいたわる二人の優しさに涼子は心身共に性交を受け入れ始めた。その後の美奈とのキスすらも。 「(あぁ、女の子と・・・美奈ちゃんとキスしちゃった)」 その前にもっと凄いことをされて、口付けくらい今更どうでも良い気もするが、これこそ最後の一線だったような気もする。どちらにしても、もうされてしまっては仕方がない。そんな思いが過ぎる間に、美奈の舌が口の中に入ってきた。 少女の唇はとろけるように柔らかくて暖かく、舌はヌルヌルしているがやはり柔らかくて熱い。その心地よさに思わず受け入れてしまうと、美奈の舌が涼子の中で踊りだした。美奈の舌は頼りないほど小さく、それが蠢く感触はどこか懸命な感じで、その愛らしさが同性のキスという抵抗感を薄める。が、その印象が年上ゆえの油断だというのはすぐに思い知らされた。 頬の裏側、上顎、歯茎の裏、舌先、舌の下・・・。少女の舌が口の中の隅々まで愛撫する。 「(やだ、美奈ちゃん・・・上手い・・・)」 稚拙なキスしか知らない涼子だが、美奈の舌使いがかなり熟練していることは理解できた。直交した唇はこれ以上ないほど密着し、深く進入した舌は敏感な口腔内を嬲り回す。 涼子の抱いていた口付けのイメージは、肉体よりも精神の繋がりを求め合うものだった。しかし年端も行かぬ少女にされているものは、紛れもない性行為だった。口の中がこんなに感じるのかと驚かされるほどに、隠れていた性感帯を次々と引き出される。 「んはっ、はっ・・・はぁ・・・んぷっ」 上手く呼吸できない涼子に何度か息継ぎをさせて、美奈のキスは長く続く。濃厚で甘ったるいその行為に、涼子の意識は徐々に抵抗を忘れて火照らされていく。 両頬に触れていた美奈の手が後頭部に回り、頭を引き寄せられると、涼子も無意識に右手を美奈の背に回してより深い結合を求める。 その間も耕治が胎内を、最深部から入り口までゆっくりと行き来し続けていた。少女とのキスに酔った涼子を邪魔しないようにか、緩いが深い快楽を送り込んでくれる。 「(快楽・・・気持ち良い? わたし、男の人に抱かれて感じてる?)」 挿入には苦痛しか感じたことのない涼子にとって、この行為で快楽を得られる事が、同性の愛撫以上に驚きだった。 「んっ・・・あぁ・・・やぁ・・・」 一度性感を自覚すると、緩い動きでは物足りなくなってきた。より強い刺激を求めて腰が勝手に身悶え、意志で止められない身体に涼子は美奈の唇を振り切って脅える。 「涼子さん・・・」 それに気付いた耕治は、涼子を更に固く抱きしめて耳元で名を囁く。 「んっ、んあんっ! あふっ・・・耕治く・・・んっ」 その温もりに安堵を感じた涼子は、甘えた声で彼の名を呼び返し、耕治が唇を重ねると積極的にキスを返す。 耕治のキスは美奈と似ていたが、相手が異性の今度は素直にその舌使いに身を委ねる事が出来、控えめにだが自分からも舌を差し出してみた。 涼子と舌先を絡めながら、耕治も腰の律動を遠慮がちなものから、大きく力強い突進に変える。 「ん、んん! んあんっ!」 口と秘部に深く進入された涼子は、その熱さに脳が蕩けそうになりながら、必死で耕治に抱き付く。 先程耕治が言った、涼子がイけば外に出すという言葉。あの時は挿入されて達するのは無理だと思ったが、この分ならすぐにその瞬間はやってきそうだ。 「涼子さん、気持ち良い?」 「んふっ! んっ! あふっ、あぁんっ」 美奈が尋ねると耕治が唇を開放するが、涼子に答える余裕はなく、ただ口付けを止められた不満の鳴き声を上げる。 「聞くまでもないわね。この表情を見れば」 反対側に顔を寄せたあずさが、間近で涼子の顔を眺めながら言う。 「はふっ! あぁ・・・」 言われて少し正気を取り戻した涼子は、自分が口をだらしなく開けて涎を垂らしていたのに気付く。 快楽に酔った自分は、どんな淫らな貌をしていたのか。美奈やあずさのように、愛らしい悶え顔だと良いが・・・ 自分では分からない表情を見られ、強烈な羞恥にあずさから顔を背けるが、正面には耕治が、反対側には美奈がいるのだ。どこを向いても誰かに顔を見られてしまう。 「本当、エッチな表情・・・」 「あんっ・・・いやぁ」 美奈に囁かれると、更に強烈な羞恥心で押し潰されそうになり、涼子は両手で顔を隠す。が、すぐにあずさと美奈が両側から手を掴んで除けてしまった。 「いや、いやぁっ! 見ないでぇ!」 恥ずかしさで顔から火が出そうになり、涼子は子供のように泣き叫ぶ。 「泣かないで、エッチで綺麗な涼子さんを見せてください」 「そうそう。だから顔を隠さないで、ね」 姉妹が左右から囁きながら、頬を伝う涙を唇で拭う。 「本当に綺麗ですよ、涼子さん」 言いながら耕治が上体を起こすと、彼の身体で隠れていた涼子の肢体が三人の目に無防備に晒される。 「綺麗だ・・・」 もう一度耕治は感嘆混じりに言うと、涼子の腰を掴み休んでいた律動を再開した。最奥のその先まで求めるような動きは、その言葉を身体で実証しているようだ。 「くはうっ! んはっ! あうっ!」 亀頭で子宮口を擦られると、脳天まで貫かれたような気がする。その感触に身悶えていると、姉妹が空いた手で涼子の肢体を弄りはじめた。 「うあっ! くぅっ・・・はあぁぁっ!」 三人の視線とくり返しの賛美、耕治の男根と姉妹の手が与える愛撫で、涼子の頭はおかしくなりそうな程に熱くさせられていく。 「あっ! ああっ! うあっ!」 その熱の中から、何かが込み上げて来るのを感じた。先程自分の手からもたらされたのと、その後あずさの舌からもたらされたのと同種の、だが遥かに大きいものが身体の奥底から表に出ようとしている。 「あっ・・・あぁっ・・・やぁっ・・・!」 迫り来る狂暴な何かに涼子は脅えるが、それを呼び込もうとする三人は容赦しない。 「「ちゅっ・・・ちゅぷっ」」 それどころか美奈とあずさは同時に乳首に吸い付き、耕治は腰の動きをさらに早くして、それを更に大きく膨らませ、迫り来る速度を速める。 「ひっ! いっ・・・いあっ・・・うあっ・・・!」 彼女を押し潰すほどに巨大化したそれから逃げようと、涼子は身体を捩り頭をぶんぶん振る。が、それは無駄な抵抗にもならない足掻きだった。 「う! う! くっ! うあ! あ!」 遂にそれが、涼子へと襲いかかった。下腹部の内部に実体化したそれは、暴力的に激しく、火傷するほど熱く、押し潰されるほど重く、胸焼けするほど甘ったるい。 「か・・・は!」 その感触に耐えられず、涼子は背を反らし腹を突き出す。頂点となったへその辺りからそれは炎のように広がっていき、涼子の肢体を燃え上がらせる。 「は! あ! あ! かは!」 やがてそれは脳天から四肢の先まで広がり、あまりの熱さに涼子は全身を痙攣させる。目の前も頭の中も真っ白になる中、口から涎が飛び散るのは何故か知覚できた。 「あ! あ! あ! あ゙!」 凄まじく甘美な炎は、前よりも遥かに長く涼子を焼き続けた。息もまともに出来ない衝撃が予想外に長く続き、涼子は自分がこのまま死んでしまうと半ば本気で思う。 「あっ・・・はっ・・・はっ・・・はぁ・・・」 しかし彼女が意識を失う寸前、それはゆっくりと収まっていった。長くくすぶりながらも、嵐が収まるように涼子を開放していく。 呼吸が大分楽になった頃、胎内から耕治の分身が引き抜かれた。 「あ・・・」 身体を埋め尽くしていたものを急に失って寂しさを感じるが、耕治は外に出たそれを涼子の下腹部に擦り付ける。 「くはっ・・・!」 粘液でぬめる硬いものは、数回擦り付けられると耕治のうめき声と共に震え、涼子の腹の上に白い体液を断続的に吹き出す。今日四発目のそれは濃度も量も随分減っていたが、涼子には凄まじく熱く大量に感じられた。 「はぁ・・・」 精を放ち終えた耕治は、力尽きたように倒れ込み、半ば重なって涼子を抱きしめる。全体重を乗せない彼に自分への配慮を感じた涼子は、力の入らない腕で逞しい身体を抱き返す。 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」 火照った身体と荒い息を重ねていると、性交とはまた違う一体感がある。その暖かさを味わっていると、日野森姉妹がティッシュで身体に付いた欲望の残滓を拭い始める。 「んっ・・・」 心地良さに目を閉じていると、唇に暖かい何かが押し付けられた。先程の激しい絡みとは違う、そっと触れるだけの口付け。 「(キス・・・気持ち良い)」 その相手を確認せずに、疲れ果てた涼子は眠りの底へと沈んでいった。 耕治の翌日の目覚めは、酷い物だった。 「(うえぇ、気分悪い)」 体内に残ったアルコールが、脳と内臓で暴れ回っている。 薄目を開けて時計を確認すると、目覚し代わりのステレオが鳴る五分前。 眠気と頭痛で目を開けているのが辛く、もう一度目を閉じてから、何となく手探りでベッド上の自分以外の存在を確かめる。右手に美奈、左手にあずさ。手触りがどう違うか説明できないが、何故か肌の感触でどちらが誰か分かる。 両手に花の状態で目覚める、二日酔いさえなければ最高の朝。しかし今朝は妙な物足りなさを感じた。 「(はて、何か足りないような・・・って涼子さん?)」 まどろみの中でそれに気付くのに数秒かかり、跳ね起きて周囲を見渡すが、ベッドの上はもちろん室内にも涼子の姿はない。 「(夢だった? あれが?)」 彼女の不在が、昨夜の熱い絡みが幻だったように思わせる。だが今思い出せば、あまりに都合の良い展開。彼女の感触は鮮明に覚えているが、それが夢の出来事でないと断言できない。 「(そうだよな。涼子さんがあんな・・・)」 現実離れした体験を夢だと信じかけたとき、ふと視界に小さな布切れが入った。 涼子を押し倒したときに脱がせた、白いソックス。 「夢じゃない・・・な」 動かぬ証拠を見せられて、耕治は現実を受け止めた。 「うぅ・・・頭痛い・・・」 「美奈も、吐きそう・・・」 痛む頭を抱えて出勤し、何とか制服に着替えた日野森姉妹だが、開店前の掃除の手を苦痛で休め、モップに寄りかかって吐き気を堪えている。 「二人とも二日酔いは初めて? 昨夜はちょっと飲みすぎたわね」 同じく調子の悪そうな葵だが、大酒飲みの彼女は二日酔いにも慣れており、耐えられない様子ではない。 「まあそれも昼には収まると思うから、少しの間我慢してね」 「は〜い」 「あうぅ・・・」 葵の励ましに力なく答え、姉妹はのろのろと掃除を再開する。 眉間をマッサージしながらその様子を見ていた耕治だが、彼の頭痛の原因は身体に残る酒だけではない。 涼子を巻き込んだ昨夜の行為は、酒のせいと言い訳できる範疇を超えていた。最初は強引に誘われたとはいえ、途中からは彼が率先して狂態を演じたのだ。 「ところで二人とも、昨夜のことだけど・・・」 葵が離れた所で、二人に話し掛ける。 「え〜、昨夜?」 「うにゅぅぅ・・・」 「ああ。あの事はやっぱちゃんと話し合った方が良いと思うんだが」 しかし頭痛に耐える二人は、何を言ってるんだ? という視線を耕治に向けて、 「ミーナ、昨夜のこと、覚えてる?」 「全然・・・」 意外な答えを返してきた。 「はえ?」 修羅場を覚悟していた耕治は、あまりの展開に間抜けな声しか出ない。 「確か昨夜は、葵さんの部屋で飲んでて、ミーナがおつまみひっくり返して・・・」 「あ、お姉ちゃんがお兄ちゃんにお酒かけたのは覚えてる」 「え? それ覚えてない。本当?」 「うん。理由は忘れたけど」 「え〜と・・・覚えてないけどごめんなさい、耕治」 硬直する耕治に、あずさはあまり悪いと思っていない口調で誤る。 「それとも他に、何かあった?」 「え? あ、いや、何もないよ」 聞かれて我に帰った耕治は、慌てて誤魔化す。 「んー、なんか怪しいわね」 「むにゅぅぅ・・・」 焦る耕治にあずさは鋭く突っ込み、美奈は頭痛に唸り続けている。 記憶のない二人に『昨夜涼子と関係を持った』などと言えば、何を言われるか分からない。 「何もないって、ははは・・・じゃあ俺、向こうの方準備してくるから」 耕治はわざとらしく笑いながら二人の前から逃げ出すが、あずさにそれを追う気力はない様だ。 「あ、涼子さん・・・」 「耕治君・・・」 事務所の前で涼子と鉢合わせした。が、彼女は耕治を一瞬見ただけで目を逸らす。 何を言うべきか分からないが、とにかく何か話さなければならない。 「昨夜のことですけど・・・」 「ごめんなさい。昨夜の事、あまり覚えてないの」 とにかく口を開いた耕治だが、顔を合わせないまま涼子が遮る。 「嘘ですね」 その抑揚のない口調は、鈍い耕治でも嘘だと分かる。 「覚えてない」 「でも」 「覚えてないの!」 僅かに声を張り上げながら涼子は、ようやく耕治の方へ振り向き・・・一瞬で顔を真紅に染めて、また振り返る。 「涼子さん?」 妙な様子に声をかけるが、涼子は振り向かない。 「あの・・・とにかく昨夜のことは、無かった事にして欲しいの」 そのうち耳まで赤くした彼女は、おどおどした口調で言う。 「勝手な言い草かもしれないけど、あずささん達も覚えてないみたいだし・・・ごめんなさい」 どうやら先程の会話は、涼子も聞いていたようだ。 「そうでないと私、あなた達の顔、まともに見れないから」 途切れ途切れに話す涼子を見ていると、自分の軽率な行動が彼女にどれだけの苦痛を与えたか計り知れなく、耕治の良心が痛む。 「涼子さん、ホントに済みませんでした」 「え? な、何が?」 「俺、涼子さんに酷いことして・・・謝って済む事でないのは分かってますが、本当にごめんなさい」 あえて『俺達』でなく『俺』と言ったのは、自分があの場で唯一の男性だった上に、一番正気を保っていた者だったからだ。 「ま、待って。耕治君」 しかし頭を下げる耕治を、涼子は慌てて止める。 「あの、私・・・確かに凄いことされちゃったけど、お互いお酒入ってたし、同意の上・・・でもない気もするけど、優しくされた・・・のかな? 痛くなかったけど。そんなに悪くなかったっていうか、すごく気持ち・・って何言ってるんだろう、私」 動揺で考えがまとまらない涼子は、話すほどにドツボにはまっていく。そのうち昨夜の行為を思い出したのか、更に顔を紅潮させて押し黙り、目が合うと慌てて視線を逸らす。 「(俺達の顔を見れないって、こういうことね)」 その態度を見ていると、彼女が恐いとか憎いとかでなく、照れているから自分達の顔が見れないのだと分かる。 「とにかく抵抗しなかった私も悪かったし、あれが強姦だったとか、全然思ってないから」 相変わらず赤い顔で話す涼子だが、少なくとも怯えているようには見えない。 「分かりました。涼子さんがそう言うなら、昨夜のことは俺も忘れます」 責任を感じている耕治だが、相手は自分より大人の女性だ。彼女が気にしていないと言うなら、これ以上気に病むのはかえって失礼な気がする。 「ええ、そうしてくれると嬉しいわ」 そう言って涼子は、無理矢理にだが笑顔を見せた。 「でも耕治君、お店でその・・・ああいう事をするのは、もう止めてね」 再び顔を赤くして言うその事とは、見られてしまった倉庫でのHだろう。 「・・・申し訳ないです」 それに関しては、ただ素直に頭を下げるしかない。 「あと、凄い付き合いしてるみたいだけど・・・あなた達が遊びのつもりでないのは分かったけど、やっぱり二股というのは感心しないわね」 「というか、二股掛けているというか、掛けられているというか・・・」 自分が美奈とあずさに二股掛けているのか、美奈が耕治とあずさに二股掛けているのか、あずさが美奈と耕治に二股掛けているのか。耕治本人すらもよく分からない。多分全部正解で全部不正解なのだろう。 「なんだか・・・色々複雑みたいね」 「複雑なんです。今の所上手くいってますけど・・・」 迷った耕治の表情を見て、涼子も彼の微妙な立場を悟ったようだ。 「まああなた達ももう子供じゃないんだし、私がとやかく言う問題でもないけど。さあ、この話はもう忘れて、仕事に戻りましょう」 「はい」 涼子が話を切り上げると、二人は自分の持ち場へと戻った。 「もう忘れて・・・か」 耕治が立ち去ってから、涼子は一人呟く。 「(あんな事、忘れられる訳ないわよね)」 昨夜の行為は、今までの涼子の価値観をひっくり返すような体験である。忘れられる筈が無い。 耕治らの関係に関しては、個人の性癖として容認できる心の広さは涼子にあった。世間の基準では異常性愛に分類されるであろうが、それで本人達が幸せならとやかく言うつもりは無い。 だが昨夜の行為、燃え上がるような性の宴は、彼女の精神に大きな痕跡を残していた。強姦されたつもりが無いのは本当だが、それの傷とは違う痕が心に深く刻まれたのを感じる。 「(参ったな・・・あんなの知らなかったし)」 未知の『味』を擦り込まれた痕は、今も甘く疼き続けている。 「さあ、お仕事お仕事!」 油断すると込み上げて来そうな疼きを、涼子は意識して口に出すことで忘れようとした。 幸いにも、開店前の仕事はいくらでもあった。
完
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Piaキャロ2S 後編「涼子の心」 |
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