隣のお姉さん

 とても暑い日だった。

「…多加貴…おい、多加貴ってば!」
「ん…ふわぁ…なに?」
 僕は体を揺すられるのを感じて、頭を起こす。
 一度だけ大きく欠伸をし、目元を擦りながら人の気配のする方に視線を向けた。
「補習終わったぞ」
 視線の先には、親友の涼佑が呆れ顔で立っていた。
「ったく、補習始まった瞬間から爆睡とかすげぇなお前。揺すってもまったく起きなくて、川嵜めっちゃ怒ってたぞ」
「ん…今何時?」
「はぁ…もう昼だよ、昼。しかし、なんだ? またゲームでもやって夜更かしか?」
「ん…まぁ…」
 本当は違う。
 いや、夜更かしは合っているのだが、ゲームでは無い。


 それは、二週間ほど前の夜の事だった。


 僕は夕飯を食べた後、好きなゲームの続きをしようと二階の自分の部屋に戻った。
 部屋に入ってエアコンのスイッチを入れる。
「あれ? 母ちゃん! 母ちゃんってば!」
 部屋のドアを開け、階下の台所で洗い物をしている母に声をかける。
「なぁに、多加ちゃん?」
「僕の部屋のエアコン、動かないんだけど〜?」
 手元のリモコンのスイッチを何度も押しながら、そう告げる。
 リモコンの電池切れかと思ったが、ボタンを押すたびに「ピッ」っと音がするのでそれは無いだろう。
「そうねぇ…多加ちゃんの部屋のエアコン。もう随分古いし、壊れちゃったかも。明日、電気屋さんに見て貰うから今日は我慢しなさい」
「えー」
 僕は露骨に不満気な声を上げた。
 何故なら、その日の夜はとても暑かったからだ。
 新聞には、観測史上最高の気温と湿度を記録したと載っていたらしい。
 らしいと言うのは、僕は新聞なんて読まないから、翌日に教室に居たやつの会話をたまたま盗み聞いたからだ。
 最初はベットの上に横になりながらゲームをしていたけど、あまりの暑さに我慢できず、蚊取り線香を貰って来て、母ちゃんがいつも洗濯物を干すのに使ってる二階のベランダに出た。
 納戸から出してきたボンボンベッドを置いて横になる。
 もう日も落ちて夜だというのに生暖かい風が吹いていたけど、部屋の中よりは幾分かマシだ。
「よし、今日こそランキングに入るぞ!」
 ゲームの電源を入れて、ソフトが立ち上がるのを待っていると耳に水音が飛び込んできた。
「ん? なに?」
 辺りを見回すと隣の家の一階にある小窓から漏れる明かりが視線に飛び込んできた。
 その家の浴室の窓で、いつもは明かりは点いてても閉まっている筈が、何故か全開に開け放たれている。
 僕は窓の中に人影を見つけた瞬間、隠れるようにベランダの床に伏せていた。

(お姉さんだ!)

 浴室に居た人物。
 それは隣の家のお姉さんだった。
 僕より六つ歳上で、紅い長い髪をいつもポニーテールに結ってある、とてもスタイルの良い女性だ。
 お姉さんと初めて会ったのは六年前。
 僕達一家がこの家に引っ越してきた時に、母と父に連れられて挨拶に行った時だった。
 当時のお姉さんは今の僕と同じ中学生だったけど、僕にはとても大人に見えて一目で憧れの存在になった。
 でもその事を知られるのが恥ずかしくて、いつもつっけんどんな態度を取っていた。
 玄関先とかで会えば挨拶をしてくるけど僕は恥ずかしくて挨拶を返せない事が多くて、居合わせた母が「まったくこの子は! おほほほ、ごめんなさいねぇ」とかいう状況が有ったり無かったりだ。

 そのお姉さんが、全裸で立っていた。
 まあお風呂に入ってるのだから全裸なのは当たり前だけど。
 僕はすぐにゲーム機をカメラモードに切り替えると撮影を始めたが、お姉さんは妙に勘の鋭い女性だ。
 ばれやしないかドキドキしながら撮影を続ける。
 お姉さんの裸体は想像していた通り、いや想像よりずっと綺麗だった。
 同級生の女子共とは比べ物にならない程の大きなおっぱいは垂れる事無く上向きだ。
 反面、ウエストは細くキュッと締まっていてうっすらと腹筋が浮かんでいる。
 過度に太くも細くも無い太腿。
 そして、うっすらと生えた陰毛。
 何とかお姉さんがお風呂から上がる最後まで撮影を終えた。
 55分12秒にも及ぶ超大作の動画の完成だ。
 途中、メモリーの容量が足りなくなってお気に入りのゲームを二本程、セーブデータごと消したけど後悔は無い。
 後悔は…ぐすん。
 僕は興奮した面持ちで自分の部屋に飛び込んだ。
 そしてお姉さんの姿をつぶさに捉えた映像を何度も観返し、二回もヌイた。

 その日から夜になるとベランダに出て息を潜め、小窓を監視する作業に勤しんでいた。
 監視を始めて気付いたのだけど、お姉さんが帰宅する時間は非常に区区だ。
 夕方頃には帰宅している事もあれば、夜中の零時を回る事も珍しくない。
 時には数日帰って来ない事もあった。
 だからお風呂に入る時間もバラバラ。
 お陰で毎日寝不足の日々だ。

 ただあれ以来、窓が開け放たれる事も無く、何の成果も得られないままだった。



「それでよ、多加貴。前に言ってたアレ、焼いてきたぞ」
 涼佑はそう言うと、鞄からDVD-ROMを出すと僕の机の上に置いた。
 涼佑の趣味はアダルトビデオの蒐集だ。
 特に無修正のものを集めること事に並々ならぬ努力をし、蒐集している。
 ジャンルに拘りは無いらしいけど、前に家に遊びに行った時ちらりと観せて貰ったがどこで手に入れたのか、正規に出回ってるソフトの無修正版を沢山持っていた。
 これはその時に涼佑に土下座までしてお願いしていた物だ。
「何だよぉ…あんま嬉しそうじゃないなぁ…」
「え? あ…そんな事無いよ! めっちゃ嬉しいなぁ! アダルト神涼佑様、流石僕の親友だぜ!!」
「へへへ、そうかぁ? 俺のコレクションの中でも秀逸の五本だかんな。あんまヌキすぎんなよ!」
 すまん、涼佑。
 僕はもう至高の動画を手に入れてしまたんだ…まあ、これはこれで貰っておくけどね。
「そりゃそうと、川嵜が起きたら帰りに職員室に寄れって言ってたぞ」
「うえぇぇ?」
「まあ、たっぷり説教でも喰らってくんだな」

 このあと滅茶苦茶説教を喰らった。



 暑い…………ものすごっっっっっくっ…暑い。
 川嵜先生にしこたま怒られた後、心優しい先生は僕の将来を心配して、おみやげに心の篭った課題をたんまりと持たせてくれた。
 何が…「先生も君が憎くて怒ってる訳じゃないのよ? 君の事を思ってなの(裏声)」だ!
 ちくしょ…胸の貧しいやつはやっぱ心も貧しいんだ…。
 デイパックの肩紐が肩に喰い込むほどの量の課題を渡された僕は、恨み言をひとりごちながら家まで続く緩やかな坂道を登っていた。
 昨晩降った雨の影響か、今日の湿度は異常に高く、しかも朝からカンカン照りで気温は35℃を有に超えている。
 こうして歩いてるだけで、汗が噴き出し、汗で濡れた制服のカッターシャツが肌に纏わりついて不快指数は余裕の300越えだ。
 不快指数に300なんてねぇよww、とか言うツッコミは不要だ。
 あくまで、それぐらい不快だという比喩だ。
 坂道を登りきり、自宅前に着いた所で背後から「あら、こんにちは」と声を掛けられた。
 心拍数が一気に上昇する。
 声の主の方に振り返る。

 向かいの家の門の向こうにお姉さんが立っていた。
 グレーのタンクトップにデニムのホットパンツと生足サンダルというラフな格好だ。
 頭には麦藁帽子が乗っかっている。
 手に散水ノズルを持っている事から、庭木に水でもやっているのだろう。
「こ、こんにちは…」
 どもりながらも挨拶を返す。
「今、学校からの帰り?」
「ええ…まぁ…」
「多加貴くん、もう中学生だっけ? 夏休みなのに大変ね」
「ええ…まぁ…」
「…」
「…」
「あははははは…なんかごめんね、急に呼び止めちゃって」
「いえ、じゃあ」
「バイバイ」
 そう言うと、お姉さんは水遣りを再開する。
 ぼぉっと暫くその様子を見ていたが、それに気付いたお姉さんがにこりと笑いかけてきて、我に返った僕はぺこりと頭を下げて家の中に飛び込むように逃げ込んだ。
 そのまま玄関のドアを背にへたり込む。
 心臓はまだバクバクと脈打っていた。
 脳裏にさっきのお姉さんの姿が浮かぶ。
 ポニーテールじゃなくて、髪を下ろしたお姉さんはいつもよりずっと大人っぽく見えた。
 腕を上げた時に見える横乳。
 タンクトップとホットパンツの間から見え隠れするお臍。
 丈の短いホットパンツからはお尻の肉がはみ出していた。
 汗ばんだタンクトップの生地が肌に張り付き、くっきりと乳首を浮かび上がらせていた。
 お姉さんはノーブラだったのだ。
 毎日、動画でお姉さんの裸を観ているのにも係わらず、僕は異常に興奮を覚えたのだった。



 そして、お姉さんに玄関先で遭遇した日から一週間が過ぎた。
 補習も終わり(課題が終わったとは言ってない)、昨日から母と父は兄と弟を連れて母の田舎に帰省したが、僕は色々と理由を付けて居残り、自室に引き篭もっていた。

 実はお姉さんと玄関先で会った日の夜、またしてもお姉さんの入浴シーンを撮る機会を得たのだ。
 今回は父のビデオカメラをこっそりと拝借して、鮮明に映ったお姉さんの裸体を隅々まで撮影することが出来た。
 毛の一本一本すら判別できるほどの高画質!
 今では黒子の位置さえ把握していた。
 凄いでしょ?
 時間も90分超という長いものになった。
 女の人ってなんでこんなに長風呂なんだろう?
 まあ、いいや。

 話を戻そう。

 今回、引き篭もってたのは、この動画を自分好みに編集する為だ。
 その為に、貯めてあったお年玉を叩いて高い動画編集ソフトを買い、この一週間で使い方を覚えた。
 そして昨日の夜から、いよいよ動画の作成に入った訳だがすぐに…。
「あー駄目だ」
 どんなに良いソフトを使っても、僕にはセンスというものが欠けているらしい。
「もっと色んな作品とか見て、参考にしたりとかした方がいいかな?」
 そう思い、昨夜から色々な動画サイトを回り視聴したりもしたがまったく参考にならない。
 そりゃそうだ。
 僕はシコシコ動画とかYo!TUBEみたいなサイトしか知らない。
 今から作ろうとしているのはそういうサイトで観られる動画では無いのだ。
 その時、涼佑から貰ったDVD-ROMの事を思い出した。
 貰った日にまったく観ずに、机の引き出しの奥に仕舞ったのを引っ張り出して、パソコンのドライブに放り込む。
 動画はMP4形式に変換されてて、五つ入っていた。
【クリーニング屋ケンさん.MP4】【特別介護施設の女職員.MP4】【女殺触手地獄.MP4】【マン淫電車_あたし以外の乗客全員痴漢!?巨乳OL精液漬け.MP4】【援助交妻.MP4】
 ファイル名は動画のタイトルがそのまま付けられてるんだと思う。
 この中で【マン淫電車_あたし以外の乗客全員痴漢!?巨乳OL精液漬け.MP4】と言うのが気になった。
 僕が単に巨乳フェチでお姉さん好きなだけなんだけどね。
 よし、まずはこれを観よう。
 家には家族は誰も居ないから、ヘッドフォンをする煩わしさもないし、最高だ。
 とりあえず、そのファイルをクリックする。

 始まってすぐにいかにも素人仕事なタイトルテロップの後、実際の駅が映し出された。
 ホームに立つ女優は、首から下だけが映されている。
 OLという設定通り、スーツを身に纏った髪の長い女優が電車に乗り込んだ所で、テレビのバラエティ番組のようなちゃちな作りの電車のセットに画面が切り替わった。
 セット内はさっきの女優といっぱいの男達がすし詰めになっていて、まだ女優の顔は一切映されず、男達による痴漢行為が始まる。
『ちょっと止めて下さい…人呼びますよ?』
 痴漢をされている女優が拙い演技で台詞を喋っていく。
「ん、この声?」
 女優の声を聞いた時、僕は既視感みたいなのを感じた。
 画面の中では、女優が全身を弄られ、次第に着ていた服を脱がされていく。
 服の前が完全にはだけ、乳房が完全に露出し、スカートが脱がされ女優の裸が映し出された所で、既視感では無いと思い始めた。
 僕はこの身体を良く知っている。
 開始から15分。
 ここで初めて女優の顔が映し出され、それは確信に変わった。
「お…姉さ…ん?」
 画面の中では“黒髪”のお姉さんが、おっさんのチ●ポを咥えさせられていた。
 髪の色こそ違うが、これはよく似た他人じゃない。
 間違いなくお姉さんだ。
 フェラチオをしながらも、お姉さんの目線はしっかりとカメラの方を視ていて、まるで自分と視線が合ったように錯覚した。
 僕を見つめながら、頬を窄め唇を突き出してチ●ポを扱き上げ、時折口を離すと、舌で先っぽや棒の部分を舐め上げる。
 さっきまで無反応だった僕のチ●ポがムクムクと鎌首をもたげていく。
 シーンは進み、遂に…お姉さんがおっさんに挿入され、よがり声を上げている。
 両手で吊革を掴み、立位のまま後ろから突かれ、前に回った別の若い男とお姉さんはキスをして舌を絡ませる。
『あっあっあっいくっいっちゃうっいっちゃうぅぅぅぅんっっっ!』
 絶頂の声と共におっさんが膣内に中出しすると、お姉さんの顔は法悦の表情を浮かべていた。
 そこから更に二人の男がお姉さんに挿入し、立ち鼎、碁盤攻め、後背位などで責めていく。
 二人とも中出しすると、カメラはお姉さんのオ●ンコをアップで捉える。
 おっさんがオ●ンコを指で拡げると、桜色の粘膜が露出し、まだ閉じきって無い膣口からは精液が零れ落ちてくる。
 この時点で再生時間は60分を経過していたが、動画の長さは120分ある。
 ここからがこの動画の本番だ。
 三人の男達に中出しされて、放心状態で座り込んでいるお姉さん。
 最初にお姉さんを犯したおっさんがお姉さんの背後に回り、顔を押さえ込んで無理矢理口を開けさせると、それまで無関心だった周りの乗客が次々とチ●ポを取り出し、扱きながらお姉さんの口に射精していく。
 10人ぐらいが射精したところでお姉さんの口の中は精液で満たせれいっぱいだ。
 それをカメラに見せるようにした後、お姉さんは喉を鳴らしながら飲み込んでいく。
 そして再び口を開け、完全に飲み下したのをカメラに確認させると、また男達はお姉さんの口に目掛けて射精をしていく。
 時折、勢い余って飛び散った精液でお姉さんの顔は精液塗れになるが、おっさんが丁寧に指で掻き集め、お姉さんの口に放り込んでいく。
 ざっと100人余りの男達が射精し、お姉さんはそれを全て飲み干していた。
 そして残り15分を切ったところで、男達は今度は無雑作にお姉さんに向かって射精していく。
 顔に。
 髪に。
 胸に。
 全身に。
 次々と精液をブッカケられ、お姉さんが白く染まっていく。
 射精の終わった男達は次々電車を降りていく。
 最後に一人電車に取り残され全身精液漬けになったお姉さんがズームバックしていき、電車のドアが閉まるとそこに“End”と書かれていて、動画が終わる。

「え? なんで? え?」
 よく知ってる憧れの女性のセックスシーンを、直接では無いにしろ目の当たりにして、僕は激しく動揺していた。
 言っておくが、僕はお姉さんは絶対処女だとか別に神聖視はしていない。
 あれだけ綺麗な女性だ。
 付き合ってる、もしくは付き合ってた男の一人や二人居ても可笑しくはないし、そいつらと性経験の一つや二つしていても何ら不思議ではないと割り切っている。
 でも、まさか変装(と言っても髪を黒く染めて、カラーコンタクトをしてる程度だが)して、AVに出演しているとは思いもしなかった。
 僕は慌てて他のファイルも再生してみる。
 残り4本うち【女殺触手地獄】というタイトルが付けられた動画もお姉さんが主演していた。
 ちなみにこっちは物語仕立てになっていて、女捜査官に扮したお姉さんが悪の組織(笑)に捕まって拷問(と言う名のエロい事)を受けた後、いかにも作り物の触手に犯されたり、組織の構成員達に輪姦されたりする内容だった。
 まさか5本のうち2本がお姉さんの出演作品だとは…。
 しかし動揺を覚えながらも、僕はチ●ポを扱いていた。
 そして寝た。



「腹減った…」
 空腹感に目を覚ました僕は、這うようにして一階に向かう。
 そういえば、昨日は昼ご飯を食べた後は何も食べてなかったっけ。
「母ちゃん、なんか食べる物ある? 母ちゃ…」
 ああ…そうだった…。
 台所に入ったところで、母は居ない事を思い出した。
 とりあえず冷蔵庫を漁ってみるが、食材はあるが、食料がない。
 買い置きのカップ麺とか無いものかと、戸棚をあちこち漁ってみるが見当たらない。
 そういえば、僕の母はちょっと有名な料理研究家で、そういう類の食べ物をあまり好ましく思ってない人だった。
 だからうちの食事はいつも、母が一から手作りした物が並ぶ。
 よく見ると、テーブルの上に手書きのレシピが乗っかっていた。
「コンビニ行くか…」
 幸いにも今月のこづかいはまだ手付かずで残ってる。
 着替えて表へ出た所で「おはよう」と声を掛けられた。
 心拍数が一気に上昇する。
 声の主の方に振り返る…までもない、お姉さんだ。
「あら、どうしたの?」
 僕は背中を向けたまま固まってしまっていた。
「いえ…別に…なんでもないです…あっ…お、おはようございます…」
 そのまま挨拶の返事を返す。
「そう? …じゃぁ、あたし今から仕事だから、またね」
「あ…い、いってらっしゃい」
「くすっ…はい、いってきます」
 カツカツと鳴るヒールの音が遠ざかるのを確認してから僕は大きな溜息を吐いた。
 声を聞いただけで昨日観たお姉さんの淫らな姿が思い出されて、正直、今お姉さんの姿をまともに見る勇気が無かった。
 夕べあれだけヌイたというのに、ズボンの股間の部分が大きく盛り上がっている。
「そういえばこれから仕事って言ってたなぁ…仕事って事はこれから撮え…いやいやいや」
 僕はお姉さんがなんの仕事をしているか知らない。
 だけど、頭にはお姉さんがカメラの前で男と絡まり合ってる姿が浮かんでは消え、股間がますますズボンを押し上げる。
 一端家に戻って落ち着かせた後、コンビニ向かった。

 おむすび二個とお茶を買ったけど、なんか家に帰る気になれず駅前の広場で食事を済まし、そのまま映画館に向かう。
 三本ほど映画をハシゴして、ゲームセンターで時間を潰す。
 財布の中がすっからかんになった頃には、すっかり日は落ちてしまっていた。
 帰りの交通費まで使い切ってしまい、歩いて帰る事になってしまったが、実は少しだけわくわくしていた。
 うちの門限は午後六時なので、こんな遅い時間に一人で街を出歩いた事なんてなかったからだ。
 今日は門限破りをしてもアイアンクローをしてくる母は居ない。
 僕は昼間とは違う夜の街の風景を堪能しながら、一路家を目指した。



 繁華街の外れに小さなビルが在る。
 四階建ての商業ビルで、戦後すぐに建てられた物だと聞いてる。
 昔は幾つものテナントが入り賑わってたらしいが、いつの頃か一つ、また一つと店が出て行き、とうとう全ての店舗が居なくなりビルの経営が立ちゆかなくなった末にオーナーが首を吊って自殺したという噂があった。
 実際、廃ビルとなって数年は経過していて最近になって取り壊しが決まり、今は足場が組まれ、解体作業が始まっていた。
 その横を通り掛った時、人の呻き声のようなものが聞こえた。
「え、なに?」
 それは足場に囲まれたこのビルの中から聞こえてくる。
 時間的にはもう夜の九時前だ。
 こんな時間に人が居るとは思えないが、もしかしたら解体業者の人が怪我をして動けないとか、トラブルに巻き込まれてしまってるのではないか考え、ビルの入口から声を掛けてみる。
「だ、誰か居るんですかぁ…?」
 だが真っ暗なビルの奥はまったく見通せないし、返事もない。
「ははは…やっぱ気のせ…」

『うううぅぅぅ…あああぁぁぁ…』

「ひぃ!?」
 今度ははっきりと聞き取れた。
 僕は思い切ってビルの中に足を踏み入れる事にした。
 入口のドアは既に取り外されていて、三角コーンとコーンバーで塞がれてるだけなのであっさりと中に入れた。
 建物の中は真っ暗で、スマホのライトアプリだけが頼りだ。
 什器などはそのまま放置されていて、あちこちに散乱している。
 穴が開いた天井からはケーブルなんかも垂れ下がっていた。
「だ、誰か居ますかぁ〜?」
 自分ではめいいっぱい声を張り上げてるつもりだが、実際は消え入りそうな声で呼び掛けながら奥に進んでいく。
 通路を真っ直ぐと進むと、丁字になった突き当たりの左手側奥にトイレがあった。
 トイレだと判ったのは入口の上に「W.C」と案内板が出ていたからだ。
 僕はこっそり入口の端から中を覗き込んでみる。
 トイレの中は薄暗くてはっきりと見えないが男子便器が三つと個室が二つ、それに用具入れが一つある程度の広さだ。
 この部屋の中央に人が居た。
 “人”だと断言出来るのは、その人が僕がよく知ってる人物だからだ。
「お姉さんだ…」
 お姉さんは部屋の中央付近で寝そべり、右手で自分の胸を揉みしだきながら、股間に伸ばされた左手に握った何かをオ●ンコに挿入している。
 今朝会った時に「仕事に行く」と言ってたし、もしかしたらその“仕事”の真っ最中じゃないかと思った僕は、辺りを見回しカメラや撮影スタッフが居ないか確認するが、お姉さん以外に人は居なさそうだった。
 そう言えば、あの動画で観たように黒髪じゃなくて、いつもの紅髪のままだ。
 とにかく、お姉さんはそこで自慰に耽っていた。
「ふあぁぁぁぁ、だめ…こんなのじゃ…やっぱり…だめぇ…誰かに…」
 お姉さんは目元に涙を溜め、舌を突き出しながら、自分の身体を徹底的に責め続けていた。
 大きなおっぱいの頂に在る乳首が、あの動画で観た時よりもずっと硬く尖っている気がする。
 股間から溢れる液体は太腿を濡らし、床に液溜りを作っていた。
 昨日と今朝にヌイたばかりだというのに、僕のチ●ポはギンギンに硬くなっていた。
 その様子を息を殺してじっと見ながら、いつの間にか扱いていた。
 限界は驚くほど早くきた。
「ぉぅ…」
 射精の瞬間、思わず声を漏らしてしまう。
「……だ…れ?」
 お姉さんはその声に敏感に反応してきた。
「そ…こに…誰か…居る…の?」
 幸いにも壁越しで僕の姿は見えてないらしい。
 このまま逃げてしまおうかと思ったけど、僕はお姉さんの前に姿を晒した。
「えっと…こ、こんばんわ」
 何を言ってるんだ僕は。
「もしかして…多加…貴君?」
「あ…はい…」
「そっか……」
 お姉さんは少し驚いた表情を見せた後、少し考え事をし、そして何か意を決したのか、立ち上がると全裸のままこっちに近づいてくる。
 一歩進むたびにその大きなおっぱいがぷるるんと揺れている。
 やっぱすげぇや、巨乳! 川嵜ざまぁw
 なんて事を考えているとお姉さんがどんどん迫ってくる。
「えっと…あのぉ…」
 僕はまるで追い詰められるように下がっていくが、とうとう部屋の角に追い詰められた。
 お姉さんの顔が超・目の前に在る。
「多加貴君…お願いがあるの…」
 潤んだ瞳でじっと見つめてくる。
 恥ずかしさで視線を外そうとするが、お姉さんは僕の頭をがっちりと固定してそれを許してくれない。
「…が欲しいの…お願い…じゃないと…あたし…このままじゃ…んっ…くちゅ…くちゅちゅ…」
「んぷっ…んん…んんっ!?」
 突然、唇を塞がれ、お姉さんの舌が僕の舌に絡まりついてくる。
「ん…ぷっはぁ…え、なに? んん…」
 一度、唇が離されたが直ぐに塞がれ、お姉さんはキスをしながら僕の服の中に腕を滑り込ませ、僕の乳首を指で転がす。
 それが恐ろしいほど気持ちがいい。
「ぁん」
 思わず生娘のように声を漏らしてしまった。
 生娘じゃなくて童貞だけど。
 いつの間にか上着がたくし上げられ、やっと離された唇が次は僕の乳首を責め上げる。
 舌先でちろちろと乳首を舐めながら、左手はズボンのチャックを下ろし、中からチ●ポを取り出すと扱いてくる。
 さっきヌイて処理もせずに仕舞い込んであったそれは、ねちゃねちゃとした音を立てている。
「…もしかして…あたしのオナニー盗み見ながら…したの?」
「え…あ…」
 ついさっきの事を指摘され、僕の顔は一気に真っ赤になる。
「そっか…あたしでヌイたのね……くすっ…」
 お姉さんは僕の前に跪くと、チ●ポに舌を這わせ始めた。
 亀頭を覆っている皮の隙間にお姉さんの舌が滑り込むように侵入すると、カリの部分を沿うようにして舌先が這い、そこに残っていた精液を集めいく。
 それを舌で掬い取り、そのままごくりと飲み込んだ。
 そして再び、チ●ポに喰らいつく。
 今度は竿の部分や袋の部分まで舌を這わせ、そこにこびり付いた精液を綺麗に舐め取っていき、またそれを飲み込んでいく。
 精液に汚れていた僕のチ●ポは、お姉さんの口であっという間に綺麗になった。
「ごくんっ…はぁはぁはぁはぁ…ぁん…やっぱ、これぐらいじゃ…全然足りない…か…」
 お姉さんはそう呟くと、僕の顔をちらりと見た後、口を大きく開けてまだ半勃起状態のチ●ポを口に含んだ。
「んっおほっ!?」
 チ●ポの先が暖かいものに覆われる感覚に、僕は不覚にも変な声を上げてしまった。
 下を見るとお姉さんが動画で見たのと同じ表情で僕のチ●ポをしゃぶっている。
 カリ首を甘噛みしながら舌先を縦横無尽に動かし鈴口を刺激する。
 左手は竿を扱きつつ時々玉袋を揉みしだき、右手の指先が僕のアナルに入れられ前立腺を刺激してくる。
 半勃起状態だったチ●ポは瞬く間に硬くなり、さっき出したばかりだというのに、すぐにあの感覚が僕を襲ってくる。
「ん…あ…で…でそう……でそうです…」
 このままお姉さんの口の中に出してしまう事に気が引けて、僕は射精が近い事をお姉さんに告げるが、お姉さんは一向に口を離す素振りも見せない。
「あっ…お…ね…あっ…い…いくぅ…出るぅ!」
 ぎりぎりまで我慢していたが、遂に限界が来て僕はお姉さんの口の中に精液をぶちまけてしまった。
「んぐぅ…んっんん…んぐぅ…ごくごく…」
 お姉さんはそれを喉を鳴らしながら嚥下すると、最後は尿道に残った精液までも啜り上げた。
「んっ…ぷっはぁ…ごくごくん…はぁはぁはぁはぁ…もう…大丈夫かしら…?」
 お姉さんは何かを確かめるように自分の身体のあちこちを触っている。
 僕はと言うと、すっかり放心状態だ。
 気持ちよすぎて。

「…くん…貴くん…多加貴くん?」
「え?あ?はい!?」
 肩を揺さぶられる感覚に僕は意識を戻す。
 近い近い近い。
 お姉さんの顔がさっきと同じく超・目の前に在った。
 今度は頭を押さえ込まれてなかったので、すかさず視線を外す。
 それがいけなかったのだろうか。
「えっと…多加貴くん、いきなりこんな事して、ごめんね…軽蔑したでしょ?」
 お姉さんの声のトーンが少し悲しそうに聞こえた。
「え…そそそそんな事ないです!あのっ…す、すっごくぅっ気持ちよかったです!」
 僕は慌ててお姉さんの目を見据えると本音を口にする。
 まあ…実際、気持ち良かったし。
「ぷっ…くすくすくす…ありがと…でも一応、事情ぐらい説明させてね…」

 なぜこんな事になったのか理由を教えてくれた。
 お姉さんは、ある駆除会社に所属する退魔師なんだそうだ。
 AV女優じゃ無かったのか…。
 この廃ビルに巣食っていた魔物の駆除を請け負い駆除出来たまではいいが、途中、魔物から毒を受けておりその毒の種類が所謂、淫毒と言われる毒だったらしい。
 たまたま解毒剤の持ち合わせが無かったお姉さんは快感を得るために自分で慰めてみたものの状態は一向に改善されず、もう一つの解毒の手段である“男性の精液”を摂取する手段に出ようと思ったのだとか。
 それで、ビルの外に出て誰かに“お願い”しようと思った矢先に、僕を発見して今に至るって訳だ。

 絶頂や精液で解毒される毒ってなんてエロゲー?、と思ったが言わないでおこう。

「そ、それで…もう大丈夫なんですか?」
「ええ、多加貴君のおかげで随分落ち着いてきたわ…たぶん、大丈…」
 そう言いながら、立ち上がった瞬間。
「ぶっ…きゃっ!?」
 お姉さんが脚を縺れさせ、僕の上に倒れこんできた。
 僕の上に圧し掛かるように倒れてきたお姉さんの顔が僕の鼻先三寸の所にあり、自然と僕達は見詰め合っていた。
 お姉さんの瞳は潤んでる。
「多加貴君…」
「…はい」
 僕達はどちらからとも無く唇を合わせる。
 今度は僕からも積極的に舌を絡ませていく。
「はむぅ…んちゅ…くちゅ…」
「んん…多…加貴…君…んちゅ…ちゅぷちゅぱ…んちゅちゅちゅぷ…」
 お互い充分に唾液の交換を済まし、唇を離すとお姉さんは自分の今の状態を口にする。
「ごめんね…多加貴君…やっぱり、まだちょっと駄目みたい…」
 何でもお姉さんの身体はイキたがっており、僕にイカせて欲しいと頼んできたのだ。
 僕は経験が無い事をお姉さんに告げるが、それでもかまわないとお姉さんが主体で行為が始まった。
 お姉さんは僕を床に寝転ばせると、逆さに覆いかぶさる。
 お姉さんの頭が僕の股間に、僕の頭がお姉さんの股間に来る体勢、俗に69と呼ばれる体位だ。
「…多加貴君たらさっき出したばかりなのに…もうこんなに…」
 お姉さんは僕のチ●ポ見ると法悦の表情を見せる。
 既に二度も射精(朝から数えれば三度)しているのに、僕のチ●ポはギンギンに勃起していたのだ。
「…ん…オチ●チンの先からこんなにお汁出てる…」
 お姉さんの舌が亀頭を舐め上げ、先走り汁を啜る。
「ぺちゃぺちゃ…凄い…どんどん溢れてくる…」
 さっきも思ったが、お姉さんのフェラチオは恐ろしいほど気持ちが良い。
 時折、チ●ポを口に含むと、頬を窄め頭を揺らしながら舌で刺激を与えてくる。
 すぐに玉袋がキュッとなって出そうになるが、今度は竿の根元をギュッと掴み射精を許してくれない。
「多加貴君…まだ、駄ぁ目……」
 そう言うとお尻を振り、オ●ンコを見せ付けてくる。
 淫毒の影響で既にドロドロに濡れた割れ目はすっかり割り開き、ピンク色の淫核は頭を覗かせヒクヒクと脈打ちながら僕を誘う。
 僕は初めて生で見るオ●ンコに興味津々で、恐る恐る舌を這わせる。
「あんっ…そこぉ…気持ちいい…」
 フェラチオが中断され、お姉さんは顎を突き出すように頭を仰け反らすと身体をプルプルと震わせる。
 その様子が可愛くて、舌を縦横無尽に動かしオ●ンコを刺激するとどんどん蜜が溢れ出してきた。
「ひゃっぁんっ…そんなに激しくされたら…あたし…」
 すっかり僕の顔はお姉さんの愛液でベトベトだ。
 次は、完全に曝け出された淫核だ。
 指で摘んでみるとコリコリとしていて、意外と硬さがある。
「はっ…あんっ…多…加貴君そこは…摘んじゃ…だ…めぇ…あっあっ…」
 それを口に含むと、さっきのお返しとばかりに舌先で刺激を与える。
「はんっ…あたし…いく…いっちゃうっ!」
 その瞬間、お姉さんの膣口が大きく開いたかと思うとキュッと締まり、ピクピクと身体を痙攣させる。
「はぁはぁはぁ…イッちゃった…」
 え?
 ………。
 しまったぁぁぁぁ!
 まさか、クンニだけでイッちゃうとは。
 うう…童貞喪失のチャンスだったのに、千載一遇のチャンスを失ってしまった。
 ま、まあ…これでお姉さんの状態が改善されるならいいか。
 そう自分に言い聞かせる。
「あ、その…も、もう大丈夫なんですか?」
 アクメの余韻に浸るお姉さんに声を掛ける。
「ん…まだ駄目みたい…」
 お姉さんが本当に申し訳無さそうに上目遣いで僕の方を見る。
 ラッキー!
「じゃなくて」
「え、なに?
「い、いえ何でもないです…つ、次はどうしたら…」
「その…多加貴君が嫌じゃ無かったら……欲しいの…」
「え?」
「だから、嫌じゃ無かったら、あたしのアソコにオ●ンチン入れて欲しいの…でも多加貴君、初めてだし、あたしみたいな女とスルの嫌かも知れないけど……」
「いいですよ」
 即答する。
「あ、嫌だったらいいの、あとは自分で何とかするから…ごめんね、本当にごめんなさ…え? 本当に? 初めてがあたしみたいな女でいいの?」
 黙って頷く。
 大丈夫ですよ、初めてがお姉さんだとか最高じゃないですか。
 それに「自分で何とかする」って、きっと僕が断ればお姉さんは外に出て他の男に自分を慰めてもらうつもりなんだ。
 それは…なんか嫌だ…。


「こ、ここでいいですか?」
 横たわったお姉さんに覆い被さり、チ●ポの先をオ●ンコの位置に合わせる。
「ん…もう…ちょっと下…そこ…きてぇ…あ…あああぁぁぁっ!!」
 お姉さんの合図で腰を突き出すと、チ●ポが熱いものに包まれる。

 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。

 お姉さんの膣内はフェラチオなんか目じゃないほどにヤバかった。
 その証拠に、挿入した瞬間に僕は射精してしまったのだ。
「す、すみません…」
 イカせるどころか、一瞬でイッてしまった。
 すぐにチ●ポを抜こうとしたが「大丈夫だから、そのままじっとしてて」と言われ、制止される。
「え…なにこれ…すごっ…」
 お姉さんのアソコはまるで別の意思でも在るかのように蠢き、縮こまったチ●ポは瞬く間に硬さを取り戻していく。
 四度の射精を経ているにも係わらず、僕のチ●ポはすっかり元通りに勃起していた。

 後で知った事だが、この異常な程の回復の速さはお姉さんのテクニックだけではなく、淫毒の影響らしい。
 淫毒に犯されたお姉さんの今の体液には強精効果があるのだとか。
 つまり、お姉さんの唾液と愛液をたっぷりと摂取した僕のチ●ポは起き上がり小法師状態という事だ。

 気を取り直して、腰を二、三度動かすが直ぐにまた射精してしまう。
 その度にお姉さんは膣技?で回復してくれる。
 抜かないまま射精を繰り返す。
 次第に射精までの時間が延びていき、九度の射精を経て僕はお姉さんを堪能する余裕が出ていた。
 僕は夢にまで見たお姉さんのおっぱいにむしゃぶりつく。
 垂れる事のないハリのある巨乳。
 結構、固さがあるのかと思っていたが、まるで捏ねたてのパン生地のような柔らかさだ。
 頂には色づいた蕾がぷっくりと膨れ上がり自己主張し、その頂点には親指の先程の太さの突起があった。
 僕はその突起に夢中になって吸いつく。
 右の突起を吸い上げながら左の突起を指で弄くり回す。
「あっ…多加貴君…多加貴君…そこ…あっあああ…」
 左の突起を吸い上げながら右の突起を指で弄くり回す。
「駄目…イッちゃうぅぅぅっ」
 かなり感度が高いらしく、お姉さんは嬌声を上げながらピクピクと身体を震わし何度もアクメを迎えているようだった。



「はぁはぁはぁはぁ…ど、どうですか…?」
 二十回は出しただろうか?
 流石にもう何も出そうにない僕は、お姉さんの上に倒れこんで肩で息をしながら問いかける。
「はぁはぁはぁはぁ…今度こそ大丈夫みたい…」
 同じように肩で息をしながらお姉さんが答える。
「でもごめん…少しだけ待って……」
「は…い……」
 お互いに体力を使い果たしたらしく、僕達は重なり合ったまま眠りに堕ちていった。



「う…うーん…」
 どれぐらい眠っていたのだろう。
 気だるさを感じながら瞼を開くと、目の前にお姉さんの顔が在った。
「おはよ」
 お姉さんが笑顔で挨拶をしてくる。
「え…あ…お、おはよう…ございま…す…」
 まだ頭の中が靄掛かって状況が把握できないまま挨拶を返す。
「……」
「…多加貴君?」
「あーっ! すみませんすみま…あ痛っ!?」
 まだお姉さんの上に覆い被さったままだった僕は、慌てて離れるが勢い余って壁に頭を打ち付けてしまった。 
「だ、大丈夫!?」
 お姉さんが四つん這いで近寄ってきて、心配そうにしこたま打ち付けた頭を診ようとしてくれるが、体勢のせいで目の前におっぱいが二つゆらゆらと揺れ、目のやり場に困った僕は「だ、大丈夫、大丈夫ですから…その…ふ、服、服着てくださいっ!」そう叫ぶしか無かった。

 そして…。

 僕は服を着ると通路に出てそこで、お姉さんが着終えるまで待っていた。
「それにしても認識阻害と人払いの結界を張ってたのに、多加貴君、なんで入ってこれたの?」
 すっかり毒の効果が治まったお姉さんは、その辺に散らばった自分の衣服を拾い集めながら首を傾げていた。
「そ、そうなんですか?」
「そうなのよ! 人払いの結界でビルに近づいただけで酷い悪寒なんかを感じて中に入ろうとは思わないし、そもそも認識阻害で一時的にここにビルが在る事に気付かない筈なのよね……ま、いっか……よし、いいわよ、多加貴君」
「あ…は、はい」
 合図で中を覗き込む。
「ぶっ!?」
 僕はお姉さんの姿を見て噴き出した後、視線を外す。
 身体を覆っているのはレオタード風のスーツ。
 要所要所は隠されているものの全体的にシースルーになっている。
 フロント部分の切れ込みは鋭角、お尻はTバックになっており、隠されている部分の布地?もかなり薄いらしく、覆い隠されている筈の乳首や割れ目まで布地越しからでもはっきりとわかる程だ。
 スタイルの良いお姉さんが着ると何と言うか、その…。
 はっきり言おう。
 裸よりエロいです。
「なに、どうしたの?」
「え!? い、いえ! ななな、なん、なんでもないです…」
「そう? 変な多加貴君…」
 当の本人は別段気にした振りも見せず、今度は散らばった装備品を拾い集めて、スーツのあちこちにある留め具に留めていた。

 ビルの外に出ると東の空が白やんできていた。
 いきなりお姉さんがハグをしてきて、頬に軽くキスをしてきた。
「今日はありがと。本当に助かったわ」
 遂さっきお姉さんとそれ以上の事をシタというのに、僕は恥ずかしさで固まってしまっていた。
「ところで、家に帰るなら送っていくわよ。こんなに遅くなったらおば様、相当怒ってるんじゃないかしら? あたしの方から事情を説明してあげるから…」
「え…えっと、だ、大丈夫です。母ちゃ…母達は今、田舎に帰っててうちには誰も居ないですから…それに…」
「それに?」
 これ以上お姉さんと一緒に居たら、僕の下半身がおかしくなっちゃいそうだ。
 あんなにシタのに、チ●ポが徐々に硬さを取り戻しつつある。
 これが若さか(泣
「な、なんでもないです…じゃ、じゃあ、おやすみなさい」
「くすっ、はい、おやすみなさい」
 お姉さんに見送られながら、早足で廃ビルを後にした。



「やっぱり送って貰えばよかった」
 家に帰りついた時、既に夜が明けきっていた。
 そのまま自分の部屋に向かい、疲れた体をベッドに倒れこませる。
「あ…お風呂…まぁいいや…お姉さん……かす…みさ…ん…」
 体に染み込んだお姉さんの残り香を感じつつ、僕は深い眠りに堕ちていった。





















[ Back ]

隣のお姉さん