魔弾の射手 |
朝から降り続いた雨は、街に灯がともる頃には、やや小降りになってきていた。 その街の灯も届かない、環状線の高架下。 「……あっ……ふんっ…………いや……」 高架の樋からあふれた雨水が、高架下にある倉庫の屋根を叩く。その音に半ばかき消されるように、切なくくぐもった喘ぎ声は聞こえてきた。 コンクリートの橋脚にもたれるように若いOLが立っている。紺色のスーツは白いブラウスごと引きちぎられ、薄くピンク色に充血した乳房が、雨に濡れていた。 「……うぅっん……」 両腕を頭上で押さえられ、胸のふくらみをもてあそばれる。膝まで引き下げられたパンストとショーツ。あらわになった白い内股を、トロッとした粘液が流れ落ちていく。 「あっ……誰か、助け……あ、はぁ!」 雨と体液に濡れた顔が、恐怖と悦びに歪む。下腹部を突き上げる陰根の衝撃が、OLの身体を狂った操り人形のように震わせた。 「あっ、あっ、はぁっ、くぅっ! はぁ……はっ!」 突き上げられる度に、大きく開かれた口から声が漏れる。大きめの乳房も声に合わせるかのように、激しく揺れる。 OLを犯しているのは、人ではなかった。人ほどもある巨大なトカゲのような生物だった。緑に輝く瞳が、辺りを油断なく見渡し、二つに割れた舌が、切なく助けを求めるOLの舌を絡め取る。 「……ひぐっ! 痛っ! ……ひぁっ、あっ!」 内腿をまさぐっていたもう一本のモノが、大量の粘液を吹き出させながら尻の肉を押し退け、後の穴に潜り込んだ。 その一撃で絶頂に達したのか、OLの口からは声すらも出なくなった。突きあげられるたびに、荒い吐息が吐き出され、見開かれた眼からは涙がこぼれ落ちる。 「…………あっ……やあぁ、ヒッ……くぅぁ…………っ」 突きこまれた陰根が不気味に脈動する。トカゲは、子種を放つ歓喜に、身を震わせた。 その背後。雨水に叩かれる倉庫の屋根に、一つの人影が浮かび上がる。闇と同じ色のコートの中から、鈍い金属光沢を放つ火砲がゆっくりと引き抜かれ、手袋に包まれた親指が、撃鉄をあげた。 トカゲの頭の半分が、鈍い打撃音とともに吹き飛ぶ。 「残念ねぇ、もう一息だったのに」 頭上を電車が通過する。窓からの明かりに人影が照らされる。 雨に濡れた漆黒の長い髪が、魔の翼を思わせる。前髪に隠された顔は人形のように白く美しく、ローズレッドのルージュがひかれた唇に妖艶な笑みが浮かんでいる。 コートと黒いスーツに包まれた肢体は、絵画の世界から抜け出してきた女魔のように、豊満で妖しい魅力をはなっていた。 左手でミラーシェイドを外す。狼を思わせる血のように赤い瞳が、微かに笑った。 OLの秘所から粘液まみれの陰根を引き抜きながら、トカゲが振り返る。バックリと裂けた頭からは、脳漿まじりの血が吹き出す。 「さすが爬虫類の眷属。痛みが脳に達するのが遅いみたいね」 女は手にしていたM79/40mmグレネードランチャーを背中に回すと、腕を組みながらトカゲを見下ろした。タイトスカートの深いスリットからのぞく黒いストッキングに包まれた細い脚が、トカゲを挑発する。 「もっとも、脳味噌の半分をふっ飛ばされて、感じてもいないか」 トカゲは一声吠えると、両腕を広げて突進した。女は跳躍すると宙返りし、その両膝をトカゲの胸板に叩きこんだ。 水しぶきをあげながらトカゲは地面を滑り、落書きだらけの壁に叩きつけられる。 トカゲの胸板を使って跳躍した女は、音もなく膝と左手を地面につけて着地した。吐息とともに腰から、刃渡り40cmはあろう鉈に似た分厚い刃のナイフを引き抜き、構える。 「安心して……至高の快楽をあげるから……死という、ね」 女の唇が妖しく笑う。力をためた膝が解放されると、女の身体は黒い疾風となってトカゲに襲いかかった。女が踏んだ水たまりには、水しぶきはおろか波紋すらも起こらなかった。 トカゲの右眼にナイフが突き刺さる。ブチュッという音とともに眼球がはぜる。女はナイフの柄を握る両手に力を込めると、一気にトカゲの身体を引き裂いた。 血が勢いよく吹き出し、女の身体を濡らしていく。女は、血のシャワーの中、コートの内ポケットから引き抜いた符をかざし、二三言葉を紡いだ。 パンッという音が響く。するとトカゲの身体と血は、何かにむさぼり喰われるように形を崩し、闇に消えていった。 「さ、て、と」 女は壁にもたれて倒れているOLの方に近寄った。OLの股からは、血と生臭く青白い粘液が流れだしている。 「子種はっと……流し込まれてないか。でも、念のため……」 女は前髪をかきあげると、OLの秘口に自分の口をつけた。そして、流れだす粘液を吸う。胎内の粘液をあらかた吸い出すと、今度は内腿にべったりとはりついた粘液を丹念に舐めはじめた。 30分もたつと、OLの身体はきれいになっていた。女はOLの服を直すと、その額に手を当てた。 「貴方はここで気分が悪くなって倒れたのよ。いいわね」 女がその場から立ち去るのと入れ代わりに、救急車が到着した。 東京、荻窪。 高尾に向かう中央線各駅停車の終電車が、数人の乗客を乗せて走りだしていく。 北口から数分の所に、小さな神社がある。その裏手にある小さな屋敷に女は入っていった。 『鷲尾 那津美』 表札には、その名前だけがサインペンで殴り書きされていた。 「ただいま」 「あ、お帰りなさい」 奥から、メイド姿の眼鏡をかけた少女が、エプロンで手を拭きながら小走りに出てくる。年齢は15・6ほど。三つ編みの髪が可愛らしい。 「那津美さん……血の匂いがしますよ。お風呂、わいてますから」 「いつもありがとうね。瑞穂ちゃん」 那津美は、瑞穂の頬に軽くキスすると、コート姿のままバスルームへと消えていった。 「もう、那津美さんったら」 瑞穂は頬を赤く染めたまま、那津美が玄関先に放り出した装備と荷物を、手慣れた手つきで片づけはじめた。 「……ボランティアもほどほどにしとかないとなぁ」 入浴剤の入りのお湯につかり、那津美はフウッと息を吐いた。 那津美の仕事は、陰陽師。といっても、風水卜占を生業とするのではなく、陰陽師のもう一つの顔――様々な呪法を駆使して魔を祓う、いわゆる退魔師であった。 時は世紀末。混沌とした世界随一の大都市、東京。ここには、多くの人の様々な想いが渦巻いていた。そんな想いを糧に、忘れさられていた妖(あやかし)たちが復活し、人の生活を脅かしていた。 那津美たち現代の陰陽師は、その妖に敢然と立ち向かっていた。 そんな陰陽師の中で、那津美は特別な能力を有している。 『式神』――陰陽師の操る人造生命体。獣や蟲の姿をとり、陰陽師の手足となって、主人とともに戦う者。 那津美はその式神を操ることができる、平成の陰陽師の中でも希有な存在であった。 “あなたは、特別なの” 那津美は、幼い頃母親が自分に言った言葉を思い出した。那津美の母も有能な陰陽師であった。が、那津美を産んでから、病気がちになり、那津美が小学生の時に亡くなっている。 (そういえば、私は父さんの顔は知らないんだな……) 天井を見上げて、那津美はため息をついた。そんな頭の中の、もやのような想いを瑞穂の明るい声が吹き払った。 「那津美さん、食事はどうしますか?」 「いいわ。食べてきたから」 那津美は、右手でお腹を押さえた。先程大量に飲み下した粘液が、お腹の中で微かに蠢いている。 (おかしい……あいつは子種を流し込んでいなかったはず) 女性の胎を借りて仲間を増やそうとする妖は、古今東西その数は多い。那津美は、女性の胎に流し込まれた子種を自らが飲み下し、文字どおり“消化”することで昇華していた。 お腹の中の蠢きは、少しづつ激しくなっていた。お腹に当てた右手にも、その動きが解るようになってきている。 (もう一匹いたの? あそこに) 那津美はビクンッと身体を震わせた。お湯の中で、自分の腹が中から蹴られるのを見た。 「瑞穂ちゃん! 薬箱を持ってきて!」 那津美はお腹を押さえ、脂汗を額ににじませながら叫んだ。 身体の中をえぐられる、快感とも苦痛ともつかない感覚が脳を揺さぶる。血が昇り、吐き気と寒気、そして快感が襲ってくる。 しばらくすると、瑞穂が木箱を持って走りこんできた。ドアを開けると、眼鏡が一瞬にして真っ白に曇る。 「わぁ、那津美さん。真っ白ですぅ」 「何、馬鹿やってるの! 早く」 瑞穂は真っ白に曇った眼鏡をとった。 「那津美さん、何も見えません……わぁっ!」 「くっ!」 石けんを踏んでひっくりかえる瑞穂の手から木箱を取ると、その中からピンポン玉ほどの大きさの、深緑色の丸薬を取り出して口に放りこんだ。 丸薬が喉を通り抜け、胃の中に達すると、お腹の蠢きが途端に止んだ。 「大丈夫ですか?」 瑞穂が、手探りしながら那津美に話しかける。 「……ええ。なんとかね」 那津美は、恥ずかしそうにお腹を押さえて微笑んだ。 翌朝。 朝食のテーブルには、ベーコンエッグとコーンスープ、簡単なサラダが並べられている。 瑞穂はお気にいりのエプロンドレスを着て、トースターがパンを弾きだすのを待っていた。 那津美はコーヒーをすすりながら朝刊に眼を通す。テレビには、朝の子供番組が流れている。 「昨日の件は何もないか」 「何かあったんですか? 仕事以外に?」 「いや、別に……パン、焦げてるよ」 「えっ? わぁっ!」 慌ててパンを取り出そうと悪戦苦闘する瑞穂を見ながら、那津美は笑った。 昨日は、上野のある商店の除霊の仕事があった。仕事自体は簡単なもので、二三枚のお札と方違えの方法を教えて解決した。OLを助けたのは、その帰り道の事である。 「今日は休むから。お客さんに連絡しといて」 「ほえ? でも、予約が数件入ってますよ」 那津美はコーヒーカップを置き、新聞を置くと立ち上がった。 「代わりに行ってくれてもいいんだけど」 「那津美さんのいじわる」 階段をあがっていく那津美の後ろ姿を見送りながら、瑞穂はぷぅっとふくれてみせた。 那津美は自分の部屋に入った。その額に脂汗が浮かんでいる。 後ろ手でドアに鍵を掛け、よろめくようにベッドに倒れこんだ。 口からは荒い吐息と、さっき飲んだばかりのコーヒーが吐き出された。 汗と涙をボロボロと流しながら、もどかしくパジャマの下をおろす。その下腹部が、ポコンという音とともに妊婦のように膨れあがった。 「あぁぐっぁ……はぁ、うあぁぁぁぁぁっ」 仰向けに転がり、シーツを掴む。ショーツが流れ出てくる粘液で見る見るうちに濡れていく。下腹部が波打つように動き、そのたびにお尻の穴から粘液が吐きだされた。 那津美は腸内をかき回され、排泄の時とは比べものにならないほどの量の粘液が穴から吹きだしていく快感に、身悶え、切ない喘ぎ声をあげた。 「だめっ……こんな……はぁっ」 ショーツが引きちぎられる。小さな穴が無理矢理ひろげられ、中からミミズのような、多くの脚を持つ白濁した透明な蟲が這いだしてきた。蟲は口腔から粘液を吐き、無数の小脚を蠢かしながら、那津美の内股を這いずっていく。 直腸から大腸、小腸にいたる下腹部をうねりが、那津美の脳髄に熱い感覚と、男とのSEXでは味わえない快感を与える。 この蟲は“腹中蟲”と呼ばれ、蟲毒という一種の式神であった。那津美は、自分のお腹に飲み込んだ妖の子種をこの腹中蟲に喰わせたのである。昨晩飲んだ深緑色の丸薬が、腹中蟲の卵であった。 腹中蟲には様々な種類があり、那津美が飲んだものは、物を貪り喰う餓鬼蟲と呼ばれる種類であった。餓鬼蟲は、胃の中の妖の子種を喰い尽くしたあと、腸内の残りカスを喰いながら数時間で成虫へと成長した。本来なら、その後那津美の胃で消化されるはずであったのだが。 腹中蟲の異常を察知した那津美は、体外に排出するために、朝食の際に虫下しを飲んだ。 「あっ……くうっ、もう……動かないでぇっ!」 那津美は外に出まいと暴れる腹中蟲をつかもうともがいた。腹中蟲は、自らが吐き出す粘液と那津美の体液で濡れ、つかもうとする那津美の手からすりぬけ、身体を苦しそうにのたうたせた。 「はぁあっ! ……だめ、くぅっ……」 那津美は腰を高くあげ、何とかつかもうともがいた。那津美の腸内の残る腹中蟲の尻尾が蠢き、皮膚を突き破らんばかりに激しく動いた。 腹中蟲の脇腹から、熱い粘液が迸る。腸内を灼かれる衝撃に、那津美の身体は弓なりにそり、腰が震える。 「はぁぁぁぁぁぁっ……」 那津美が叫んだ。涙とともに、ヒクついていた秘裂と近くの穴から、愛液と尿が迸った。那津美の体液を浴びた腹中蟲が激しくもがき、穴から自ら這いだしてくる。 那津美は絶頂を迎えて失いかけた身体の力を振り絞って、腹中蟲をつかみ、一気に引き抜いた。 下腹部から熱い固まりが抜けていく。男のモノとは比べものにならないほど太く奇怪な形をした腹中蟲の尾が、裂けかけて真っ赤に充血した穴から残った粘液と排泄物とともに引き抜かれた。 「……あっ……はぁ、はぁ……」 那津美の身体を、けだるい感覚と凌辱感が駆け抜けていく。恥ずかしさに涙が流れた。 ズルッと粘液まみれの腹中蟲が腿をつたいながら、床に滑り落ちる。床に落ちた腹中蟲は、粘液を吐きながらもがいていた。 那津美は枕元に置いておいた式符を取ると、腹中蟲に投げつけた。式符は空中で青白く発光し、腹中蟲を包み込んだ。そして、小さな音とともに、腹中蟲ごとその存在を消し去った。 「まさか……腹中蟲を乗っ取るとは……」 那津美は、荒々しく息を吐きながらつぶやいた。 「……まだそんなヤツが、東京にいるなんて……信じられない」 数週間が過ぎた。 那津美は、舞い込んでくる仕事を精力的にこなしていた。 仕事といっても、占いや今流行の風水関係の仕事が大半であった。いくら退魔師とはいえ、こちらの方が収入を得るためのメインの仕事である。 夜は街中を回り、あの夜OLを襲い、子種を植えつけた謎の妖を探していた。OLは、トカゲ頭より前に、その妖に犯されていたのだ。先に流し込まれていたその妖の子種が、那津美の使った腹中虫を支配したのである。 そんな仕事に邁進する那津美を、瑞穂は支えた。家事全般を取りしきり、お客からの連絡を取り次ぎ、スケジュールの調整をしていた。 その日も瑞穂は、駅前の商店街で夕食の買物をしていた。 「さて。後は那津美さんが帰ってくるのを待つだけか」 キッチンにトマトソースの匂いが漂う。瑞穂の得意料理ハヤシライスである。 瑞穂はエプロンドレスの裾をひらりと揺らしながら、鼻歌まじりで食事の用意を始める。横目でスケジュール表の予定を読む。 「那津美さん、今日は大宮で仕事だから、帰ってくるのは11時過ぎか……ちょっと、遊んでようかな」 瑞穂は居間のソファに腰掛けると、プレステの電源を入れた。やりかけのRPGが立ち上がる。 「さてっと! ……攻略本、どこ置いたかな?」 そう言う瑞穂の背後に、何かの影が近づいていた。 新宿駅のホームの真ん中で、那津美は立ち止まった。 背中を冷たい汗が流れていく。 いやな予感がした。 瑞穂は、背後の気配に気づいて振り返った。 「那津美さん?」 ハッと見上げたその視界に、天井に張りついた蜂のようなクモのような生き物の姿が写った。大きさは小さな馬ほどもある。 「どうして! 結界が張ってあるのに!」 瑞穂は反射的に立ち上がると、腰に差していた短刀を引き抜こうとした。その瑞穂の手を妖の前腕が弾き飛ばす。 「あうっ!」 衝撃で吹き飛ばされ、サイドボードに背中を打ちつける。薄目を開けた瑞穂に、妖がのしかかってきた。 「我、汝に命ず! 応えよ!」 瑞穂のエプロンドレスのポケットから、獣の咆哮が響いた。 雷鳴とともに紫色の電光が迸り、妖を薙いだ。鼬の姿をした式神が空中に実体化する。 妖は衝撃で吹き飛ばされた。が、羽根を開き、空中で体勢をたてなおすと、瑞穂めがけて突っ込んできた。途中で、立ち向かった式神を巨大な顎で噛み砕く。 瑞穂は短刀を抜き、構えた。その顔は、普段のとぼけた顔ではなく、凛とした戦う女の顔になっていた。 最初の一撃を短刀で受けとめ、逆に妖の胴に一撃を叩き込む。緑色の体液が迸り、瑞穂の顔と髪を濡らす。 「私だって、那津美さんの!」 逆手に持った短刀を、噛みつこうとする妖の首筋に突きあげた。その瞬間、瑞穂の脇腹に激痛がはしった。 「あっ……」 力が抜ける。見ると、長くしなった針が脇腹に刺さっていた。 「……あっ……はぁっ……」 膝から前のめりに崩れ落ちる。妖は、瑞穂の両腕を持ち、高く持ち上げた。力を失った瑞穂の身体は、ダランとぶらさがる。 身体に回った毒のため、瑞穂の意識は朦朧としていた。半開きになった眼から涙が、口からはよだれが糸をひいて流れ落ちる。 妖は、第二脚で瑞穂の両膝を抱えた。瑞穂の脚がM字型に開かれる。白いストッキングが所々破れ、白い肌が露出する。 「……何するの……やめ、て……」 妖の長くしなやかな針が、瑞穂の白いショーツの下、まだ誰にも触られたことのない秘裂に伸びる。 「いやっ、いやぁぁ」 瑞穂は身体を揺すって逃れようとするが、毒の回った身体はいうことをきかない。羞恥心と恐怖で、瑞穂はボロボロと涙を流した。 針はピンク色の秘唇を割り、秘口へと滑り込む。針の先端付近に密生した繊毛が、秘唇を擦り、小さな突起を刺激する。 瑞穂の背中を電撃に似た感覚が駆け抜ける。 「あっ……やぁあっ……」 滲みだした愛液で濡れたショーツに、くっきりと秘裂の形が浮かび上がる。針は小刻みに震え、瑞穂は息を吐きながら喘ぐ。 瑞穂は生まれて初めて感じる快感に、首を激しく振った。三つ編みがほどけ、長い亜麻色の髪が背中に落ちる。 「もうやめて……お願い……」 針が乱暴に引き抜かれた。引き抜かれた針はショーツを引き裂き、破れ目から瑞穂の愛液が滴り落ちる。 唇を噛みしめ半泣き状態の瑞穂を、妖は昆虫独特の首の動きで嘲笑った。 「誰……か、助けて……」 妖は瑞穂の首筋に噛み付いた。同時に、妖の尻から伸びた、どす黒い色の産卵管が瑞穂の胎内にねじ込まれた。 「……きゃっあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 瑞穂の首筋と内股から、血が吹き出す。産卵管は瑞穂の秘裂の肉と処女膜を引き裂き、胎内へと潜り込んでいく。 「痛っぅ! くぅっ……はぁっ! や、やめっ……痛い!」 産卵管が蠕動を始める。同時に瑞穂の手足を支えていた脚を動かし、身体を乱暴に揺さぶる。脚を持ち上げるたびに瑞穂の秘裂から愛液と血が迸り、産卵管が潜り込むたびに緑色の粘液が吹き出す。 「あっ、あっ、あっ、あっ……はぁっ!」 子宮口まで辿り着いた産卵管の先端が開く。膣の壁にナイフ状の突起が引っ掛かり、激しい動きでも抜けないようになる。産卵管の表面の突起が、管のうねりに合わせて胎壁をえぐるような刺激を与える。 その刺激は、瑞穂の脳髄を直撃した。噛みつかれた痛みと、下腹部を貫く快感と痛みに、瑞穂は生まれて初めての絶頂感を憶えた。 「くっ、はああぁぁぁぁっ…………」 眼が見開かれ、大量の涙が零れる。同時に膣口から、大量の愛液が迸った。瑞穂はハァッと息を吐くと、ガクッと気を失った。 妖は、力を失った瑞穂の身体を持ち上げると、さらに乱暴に自らの産卵管に打ちつけはじめた。 痛みで目を覚ました瑞穂は、固く結んだ唇から喘ぎ声を漏らし始める。エプロンドレスは血と打ちつけられる産卵管から弾け飛ぶ粘液で濡れ、ストッキングも破れて白い脚が粘液に染まった。 産卵管を打ち込まれるリズムに合わせて、糸の切れた操り人形のように脚が揺れる。その指先から、粘液と血の混じったピンク色の液体が飛ぶ。 妖の動きが不意に止んだ。瑞穂の瞳が、ずれた眼鏡を通して、妖に疑問の視線を送る。 妖の腹部が動いた。その波のような動きは産卵管に伝わる。 瑞穂は、自分の胎内の産卵管が熱く震えたのを感じた。押し寄せてくる熱く膨れあがる感触に、恐怖の悲鳴をあげた。 産卵管から瑞穂の胎内に、大量の粘液が吐き出された。熱い粘液が子宮と膣を満たす。瑞穂の下腹部が妊婦のように膨れ上がり、ガーターベルトが音をたててちぎれ飛ぶ。 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 瑞穂は叫んだ。胎内を灼かれる衝撃に、理性が吹き飛ぶ。 産卵管が抜かれると同時に秘裂から大量の粘液が流れ落ちた。妖はまだ粘液を吹き出し続ける産卵管を高く振り上げ、瑞穂の身体や顔に粘液を吹きかけた。 「あっ、はぁあっ……くぅっ……」 瑞穂は腰を動かして悶えた。胎内を無数の何かが蠢いている感触だった。見下ろした瑞穂の眼に、粘液の中で蠢く長さ一cmほどの蟲の姿が映った。 それは芋虫のような姿をしていた。三対の脚と無数の擬脚を動かし蠢く姿に、瑞穂は悲鳴をあげ、泣き叫んだ。 妖が瑞穂を解放した。床に撒き散らされた粘液の中に落ちた瑞穂に、粘液の中で蠢く芋虫が集まってくる。芋虫は、瑞穂の半開きの口や服の中、ヒクつくお尻の穴や愛液を滴らせる秘裂など、身体中の穴という穴に潜り込んでいく。 瑞穂は、身体中や胎内から押し寄せる快感とえも言われぬ凌辱感に次第に意識を失った。 「ただいまぁ」 那津美が家に帰ってきたのは、午前零時過ぎのことであった。家の中は真っ暗で、人の気配はない。 「瑞穂ちゃん、いないの?」 返事はない。 那津美はミラーシェイドを外し、肩からかけていたダッフルバッグを下ろした。中からM79を取り出し、40mm弾が納められたバンダリアを腰に巻く。那津美の鼻は、妖の匂いを感じていた。 「……まさか……家の中に?」 その時、廊下の奥から何かが這いずってくる音が聞こえた。 「み、瑞穂!」 緑色の粘液まみれのエプロンドレス姿の瑞穂が這ってくる。瑞穂が動くたびに、股の間から芋虫が洩れ、フローリングに転がり、ピチピチと跳ねる。 「な……つみ……ん、ごめん……な……さ……」 那津美は瑞穂を抱き起こした。瑞穂は那津美の肩をつかむ。 「妖がいるのね? そうでしょ?」 瑞穂がうなずく。那津美は式符を一枚取りだし、呪咀を唱えた。青白く発光する式符を、瑞穂の胸に張りつける。 バンッと瑞穂の身体が跳ねる。同時に、瑞穂の全身の穴という穴から芋虫が吹きだし、青白い炎に焼かれていった。 「こんなに……!」 那津美は瑞穂を抱き締めた。瑞穂は苦痛な快楽から解放された安堵感か、顔に微かな微笑みを浮かべたまま眼を閉じた。 「……仇はとるわ」 那津美は口元に凄絶な笑みを浮かべる。床に瑞穂を横たえさせながら、M79のストックをつかむ。 振り返った那津美の眼に、天井に張りついた妖の姿が映った。 「児臥蜂か……まぁ、どうでもいいわ」 那津美はM79を構えた。児臥蜂が威嚇の声をあげる。 「かわいい顔してぇ……女の子には、優しくしてあげてよね!」 M79のトリガーを引き絞る。撃鉄が落とされ、薬莢の雷管を叩く。雷管に封じ込められた呪法が、薬莢に内封された爆炎の呪符の力を解放する。その力が玉鋼で作られた弾頭を射出した。 玉鋼には、魔を封じる力があると古来より信じられていた。その玉鋼の弾頭には、那津美特製の式神符が内封されている。 蜂のどてっ腹に弾頭がめり込む。弾頭の炸裂と同時に解放された式神が蜂の内臓を喰い破り、胴体をひきちぎった。 断末魔の叫びとともに緑色の粘液と、卵巣の中の芋虫が傷口から吹き出す。 苦し紛れに振り回される針を避け、那津美はM79に赤い帯の描かれた次弾を装填した。 式神を封じた弾を撃つ。これが、那津美が〈魔弾の射手〉と呼ばれるゆえんであった。 「地獄におちろ!」 「那津美さん!」 瑞穂の叫びが那津美の耳を貫く。反射的に身を屈めた那津美の頭の上を、巨大な斧が通過した。 部屋の壁をぶち破って現れたのは、奇妙に崩れた馬の下半身に人間の上半身をもった馬頭という妖であった。その名のとおり、頭は黒いたてがみのギョロ眼の馬のそれだった。 「ヨウヤク見ツケタゾ。我ラノ邪魔ヲスル女メ」 「そっちから出張ってくれるなんて、探す手間がはぶけたわ」 那津美は直感した。この妖が、あのOLを襲ったもう一匹だと。その手が素早く動き、M79の中の式弾を入れ替える。 馬頭が斧を振り上げた。那津美はバックステップで間合いを取ると、玄関から外へ飛び出した。 那津美の姿を満月が照らしだす。那津美を追って飛び出した馬頭の影が、庭石の上にのびる。 「討チトラレタ仲間ノ恨ミ、晴ラサセテモラオウ」 馬頭が打ちかかった。那津美は膝を曲げて力をためると、一気に垂直に跳躍した。 振り下ろされ、敷石を砕いた斧の柄に着地すると、M79の砲口を馬頭に向けた。 「悪く思わないでね」 鈍い発射音とともに弾頭が飛ぶ。蜘蛛の形をした式神が、無数の糸を吐きながら馬頭に襲いかかった。 「次で終わりよ!」 苦し紛れに振り上げられる斧の柄から跳躍しつつ、空中で式弾を装填する。 着地した那津美の背中から脇腹に、衝撃とともに激痛がはしった。 「な、何……?」 羽音が耳をうつ。いつの間にか空を飛んでいた児臥蜂の針が、那津美の身体を貫いていた。 「まだ、生きてたなんて……」 児臥蜂は那津美の身体を捕まえると、その鋭い刺のはえた脚で、那津美の服を引き裂きはじめた。 「や、やめっ! ……いやっ!」 児臥蜂は、那津美の右肩に噛みついた。血が吹き出すと同時に、M79とアンモパウチが地面に滑り落ちる。 ブラウスが引きちぎられた。黒いブラに包まれた豊かなふくらみがあらわになる。タイトスカートの中に潜り込んだ脚が、スカートと脚を包む黒いパンストを引き裂く。 「……このっ……あっ……ぐぅ……」 のたうつ産卵管が那津美の唇をこじ開け、中に滑り込んできた。口一杯に蠢く産卵管は喉にまで達し、生暖かい粘液を吐き出しながら奥の方へ入り込もうともがいた。 「くぅっ……ウーッ、もがっ……はぁ」 粘液は那津美の口を満たした。苦し紛れに飲み込むが、粘液は次から次へと流し込まれる。噛みつこうとするが、産卵管のあまりのサイズに、顎が動かない。 「……く、う、うっ、あっ……はぁっ」 前脚が那津美の柔らかい乳房を玩ぶ。フロントホックのブラが外れ、ピンク色の乳首があらわになる。二股にわかれた脚先が、その小さな乳首をつかむと、那津美は小さな悲鳴をあげた。 那津美の口にねじ込まれた産卵管がビクッと動いた。那津美は、瑞穂の膣から吹き出した芋虫の姿を思い出して、首を振った。 「ふんっ……むがっ……グゥッ!」 熱い迸りが那津美の口を満たす。吐き出そうとするが、深くねじ込まれた産卵管はそれを許さない。粘液とともに無数の芋虫が、那津美のお腹の中に流し込まれた。 口から産卵管が引き抜かれた。粘液の残滓が苦しみ呻く那津美の顔と髪を汚していく。 「げほっ、げぇーっ……けほっ、けほっ」 口から粘液と芋虫を吐き出している那津美の額を、巨大な手が乱暴につかんだ。 細目を開けた那津美の眼に、馬頭のぎょろ眼が飛び込んできた。左手に式神の残骸をつかんでいる。 「……何、するつもり……? まさか……」 「ソノ、マサカサ」 馬頭が笑った。口から吐き出された濃い唾液の泡が、那津美の顔にベッタリと張りつく。 馬頭の毛に覆われた手が、那津美の柔らかい乳房をつかむ。こねるように揉みしごかれ、那津美は微かな喘ぎ声をあげた。 「感ジテイルノカ?」 「……そんな、わけ……ない、で……しょ……」 「ソノ強ガリガ、ドコマデモツカ」 左の乳房に、馬頭が噛みついた。ザラッとした舌が乳首をなめあげる。那津美の喘ぎ声とともに、ピンク色の乳首がピンッと起った。那津美の脳髄を、快感が貫く。退魔師としてのプライドが、那津美の心の中で快感とせめぎあい、その背徳感が、快感を増長する。 「はぁっ! あっ……だめっ、もう……」 不意に身体が宙に浮いた。束縛していた蜂の脚が離れたのだ。 しかし、それは那津美の苦しみへの序曲にすぎなかった。 はだけた下着と、引き裂かれたブラウスの破片だけをまとわりつかせただけの那津美の裸身が、地面に投げ出される。 (今のうちに……) 那津美は、地面に転がっているM79に向かって這いはじめた。 (これさえあれば……!) あと一息で手が届くというところで、頭上に影がよぎる。 「残念ダッタナ」 馬頭の声が響く。足が那津美の伸ばした右手を踏みにじった。 痛みに悲鳴をあげる那津美を、馬頭が抱えあげた。 「オマエニハ、恐怖ヲ与エテヤル」 馬頭の胴体が骨の鳴る音とともに変形する。皮膚をまとわりつかせたまま突きでた肋骨が、那津美の身体を左右から挟みこんだ。背中が生暖かい柔毛の束に触れる。その違和感に悲鳴を上げた那津美の身体を、柔毛の間から飛び出してきた様々な太さの触手が絡みついた。 粘液を吐き出す触手は、双乳をしぼりあげるように巻きついた。その表面の突起が動き、手とは違う微妙な感覚を与えてくる。細い触手は身体の様々な所を這い回り、耳の穴や口の中に潜り込んでくる。 「……いやっ……もう、許して……お願い……」 馬頭が笑う。よつんばいの格好になった那津美のお尻に、ズルンッという音とともに勃起した、馬頭の巨根が突き当たった。先走った白い液が、那津美の髪と背中を濡らす。 「まさか……そんな……いやぁぁぁぁっ!」 那津美はもがいた。しかし、左右から肋骨が、そして身体中に巻きついた触手が動きを押さえている。触手に巻きつかれた乳房が、那津美の焦りを反映するように激しく揺れる。 馬頭の巨根が、まるで別の生き物のように那津美の尻を愛撫する。陰毛のように生えた細かい触手が、それに合わせてショーツの隙間に潜り込み、尻肉を左右に押し広げる。那津美は、この愛撫に感じながらもこの束縛から逃れようともがき続けた。 「ひいっ!」 陰根の先端が、パンストの破片と黒いショーツ越しに秘所に触れる。細かい振動と熱い体温が、那津美の性感を奮い立たせた。 「だめっ、そんなの……裂けちゃう」 那津美の口から、喘ぎ声とともに切ない声が洩れる。涙が零れ、背筋から止めなく流れてくる快感が責め立てた。 「もう……やめて……あっっ!」 先端がショーツごと秘裂にねじ込まれてくる。受け入れがたい巨大なモノの侵入を防ごうと、秘唇はキュッと窄まった。 それを見越していたのか、児臥蜂の産卵管が那津美の後の穴にねじ込まれた。 「あっ……うあぁぁぁぁっ!」 産卵管は那津美の腸内にズブズブとめり込んでいく。熱い粘液が腸の壁を灼き、那津美の脳髄を快感が駆け抜ける。 馬頭の侵入を拒んでいた秘裂が、トロッとした愛液を零す。待っていたかのように、細い触手がねじ込まれ、暴れるミミズのように膣内をこね回した。 「……いやっ! お願い、やめて……」 肉の間から、触手が吐き出した粘液と愛液が混じり、内股を流れていく。 「モウ、イイヨウダナ……」 馬頭が笑った。触手が無理矢理広げる秘唇を押し退け、巨大なモノが、ショーツを突き破りながらヒクヒクと震える秘口に打ち込まれた。 「ひ、やあぁぁぁっ!」 ズブズブと普通の馬よりの太く長いモノが、胎内に侵入してくる。膣壁をこそげ落とされるような感触が那津美の性感を貫く。薄皮一枚隔てた腸内の産卵管の突起が擦り合わされ、強烈な電撃に似た快感が那津美を責め立てる。 「くぅっ……はぁあ……ウッ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……アッ」 エラのはった馬頭の巨根が、膣内を前後する。窄まった子宮口に先端が叩きつけられ、蠕動する陰茎の突起が膣壁をえぐる。そのたびに那津美の口から、喘ぎ声と唾液がほとばしった。 「い、いやっ! あっ、はぁっ……イヤぁぁぁっ!」 馬頭の両手が双乳をつかむ。指が沈むほど力強く揉みしだかれ、固い毛の生えた六本目の指が乳首を捏ね回した。その動きに合わせて、触手の群れが身体中を這い回り、性感を刺激する。 「アッ、はぁあ……だめ……いやっ……ウンッ!」 ゴリュッという音とともに、さらに深く突き入れられる。先走った白濁した液が膣を満たし、愛液と交じって那津美の内股を濡らしていく。 瀕死の児臥蜂が呻きながら絶頂に達する。人間の射精とは比べものにならないほどの量の粘液が腸を満たした。 「ひィッ……ぐあっ……あっ……」 粘液を吐き出しながら暴れる産卵管と、蠕動する馬頭のモノの衝撃に那津美の身体はガクガクと痙攣する。 (だめっ……感じちゃ……でも……もう……) 心が犯されていく。自尊心も背徳感も快感に責め消される。 那津美は首をふりあげて叫んだ。 「もう……お願い! もっと、もっと……突いてぇっ!」 馬頭がニヤリと笑う。両手で那津美の乳房をつかんで、荒々しくもみしごき、腰を那津美の尻に叩きつける。 「…………あっ……ああ……」 巨根で下腹部をえぐられるたびに、那津美は身体の芯が蕩けていく感覚に酔っていく。もはや、退魔師のプライドも何もなかった。一匹の雌犬のように、馬頭の責めを願った。 「……あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……うんっ、だ、だめっ!」 馬頭が吠えた。那津美の胎内に突き込まれたモノが膨れ上がり、その先端から子宮めがけて大量の子種が吐き出された。 「うっ……ああぁぁぁぁぁぁぁ!」 膣を満たす熱い子種の感触に、那津美の意識が弾けた。弓なりにそった身体が束縛する肋骨の間で跳ね、双乳が激しく震える。 絶頂の余韻が終わるか終わらないかのうちに、太いモノが打ち込まれた秘裂から、ドロッとした大量の子種と愛液が流れ出した。 くたっと力を失う那津美の身体から、精液と愛液にまみれた馬頭の巨根が引き抜かれる。那津美の秘裂は赤く充血し、白濁した液体を吐きながらヒクヒクと蠢いている。 苦痛と快感に顔を歪めたまま気絶した那津美を、絡みついた触手が支え、そのうち数本の触手が、赤みを帯びた脚に巻きつく。 汗と粘液にまみれた那津美の身体から、甘い匂いが立ち上る。 「イイ匂イダ。身体ノ反応モイイ。殺スニハ惜シイ女ダ」 秘裂から精液と愛液が滴り落ちる。その滴りが、ビクビクと震える馬頭のいきりたつ陰茎を濡らした。 触手が那津美の脚をM字型になるように持ち上げると、馬頭はいきり起つ淫根めがけて、一気に振り下ろした。 愛液と精液で濡れた那津美の秘口は、馬頭の充血しエラばったそれを、簡単に受け入れた。 「あっ! はァぐぅあはぁーッ!」 那津美の眼が苦痛で見開かれる。 身体の最深部まで突き込まれた圧倒的な質量に、腰骨がギシギシと鳴る。巨根を受け入れた秘裂が、透明な愛液を吹き出たせながら鈍い音をたてて悲鳴をあげた。 弓ぞりになった那津美の身体を拘束する触手の群れが、腰の動きにあわせて揺れる乳房を玩ぶ。喘ぎ声を出して悶える口を、馬頭の耳まで裂けた口が塞いだ。 「……あぐぅぁ……ぐむっ……あムっ……」 男根より太く長い舌が口腔の中に入り込んでくる。その周囲に生えた細い触手が、那津美の舌にからみつき、先端から吐き出された大量の濃い粘液が、喉を塞ぐ。 乱暴に叩きつけられるモノが膣壁をえぐる。子宮を満たした精液が押し込まれ、那津美の下腹部を膨れ上がらせる。 「うぁ……もう、やめ……いいっ、いいのっ!」 那津美の眼から涙が零れた。豊かな胸は触手と馬頭の手によって、左右に揉みはなされ、全体がピンク色に充血する。ピンッと起った乳首が揺れ、先から透明な液体が流れだした。 「……いやっ……はぁっ、あぁぁぁぁっ……くぅぅん……」 脚が高く跳ね、指先から滴れた粘液が夜空に飛び散る。 那津美の赤い瞳の瞳孔が開く。人知を越えた責め苦に、那津美の精神は限界に達していた。 「だめっ……いやっ、いや、いやっ、いやぁぁぁぁぁぁ!」 鈍い音をたてて、馬頭のモノが那津美の秘口を犯す。膣一杯に膨れたモノは、何度も子種を吹き出し、その度にくねり、那津美を責めたてた。 (気持ちいい……もう、どうでもいい……) 「もっと! もっと出してぇ!」 巨根の先端が弾けた。今までで一番多い量の精液が、那津美の子宮を直撃する。熱い奔流が、背中を伝い、脳髄を蕩かし、理性を吹き飛ばす。 「……はぁっ……ああっ……」 那津美の口からよだれが糸をひいてたれる。その虚ろな瞳は、何も映していなかった。 ようやく鎮まったモノを引抜きながら、馬頭は笑った。那津美の身体を投げ出し、地面に転がっている児臥蜂の頭を踏み潰す。 「コレデ、邪魔者ハイナクナッタワ……ンッ?」 気配を感じて振り返った馬頭の頭に、黒い炎をまとった狼が噛みついた。牙がめり込むと同時に、真っ赤な血が吹き出す。 「誰ダ! 式ヲ使役デキル人間ハ、居ナイハズダ!」 「確かに“人”はいないけど……」 玄関に、M79を構えた瑞穂が立っていた。一挙動で薬莢を取出し、次の式弾を装填する。左手で式符を広げ、短い呪を唱えると、那津美に投げつけた。式符は裸の那津美の額に張りつき、青白い炎をあげて燃え上がった。 馬頭の頭に噛みついた式神は、回転しながら頭蓋にめりこむ。馬頭は叫びながら式神を引きずりだそうとした。 「無駄ですよ……その子から逃れることはできません……私の主人を犯した仇、討たせてもらいます」 瑞穂が第二弾を放つ。黒い雷をまとう式神が、馬頭の肋骨が開いた胸を貫いた。 「瑞穂! とどめを!」 内股から精液を流しながら那津美が立ち上がる。先程の式符が、那津美を正気に戻したのだ。 瑞穂の眼がスッと細くなる。M79を置き、短刀を構える。 馬頭が吠えながら突進する。その脚を那津美が投げた鉈が斬り飛ばした。バランスを崩して倒れる馬頭の頚に、瑞穂の短刀が深々とめり込む。 馬頭の身体が地面に転がると同時に、血が吹き出す。瑞穂は短刀をクルッと回して鞘に納めた。馬頭の身体は、式神に食われてあっという間に消え去った。 親指を突きあげ笑う那津美に、瑞穂は照れくさそうに微笑んだ。 バスタブにアヒルのおもちゃが浮いている。 「もう大丈夫なんですか?」 那津美の背中を流しながら、瑞穂は尋ねた。 「子種は滅したし……記憶も封じたしね」 「でも……私……」 瑞穂は、身体の奥の方に残った凌辱の記憶を思い出していた。 うなだれる瑞穂を、那津美は抱きしめた。 「私の身体は、これ一つだけど、瑞穂ちゃんの身体は、ね」 「?」 那津美は、瑞穂の下半身に刻まれた刻印を指し示した。 同じ意匠の刺青が、那津美の左の手の甲に刻まれている。 その図形は、那津美の使う式符に必ず描かれているものだった。 「“瑞穂”……あなたは私の自慢の式神なんだから。心配しないで」
了
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魔弾の射手 |