Piaキャロ2R 第1話「壁一枚」 |
秋の平日、昼前。 「何よ! あんたなんか変態痴漢野郎のくせに!!」 「黙れよ、可愛いげのない猛獣女!」 若い男女の言い争う声が、閑静な住宅街に建つアパートのような建物・・・ファミリーレストラン『Piaキャロット』の社員寮から響く。 「お兄ちゃんとお姉ちゃん、またやっているよ・・・恥ずかしいなぁ」 その建物に向かって歩いていた小柄な少女は、眉をひそめて呟き、恥ずかしそうに周囲を見回す。 彼女の心配をよそに、道端で話し込んでいた近所の主婦達は、住宅街に大音量で響き渡る騒音に「またか」と言いたげな視線を向けた後、何事もなかったように井戸端会議を続ける。 とりあえずこの界隈では、もはや日常と化した光景のようだ。 少しほっとした少女は、軽やかな足取りを再開した。 第1話「壁一枚」 「誰が猛獣よこの短小包茎早漏!!」 「俺のナニも知らないくせに下品な差別用語言うな!!」 朝っぱらから人の部屋に乗り込み、非常識に玄関先で怒鳴りまくる少女・・・日野森あずさは、悪鬼のごとき形相で、耕治に低レベルな罵詈雑言を連射する。 整った顔立ち、長い艶やかな髪、細身で均整のとれた体型・・・黙っていれば何処に行っても美少女で通用するであろう容姿だが、ただし”黙っていれば”だ。 あずさは耕治を、初対面でのいざこざ以来目の敵にしており、二人は顔を合わせる度に言い争いに突入した。 不幸にも同じバイト先で、そこの寮に同じく住んでいれば、当然ほぼ毎日顔を合わせるのだが、二人は毎日飽きずに、日課の様に喧嘩を繰り返していた。。 そのバイトも、予定ではお互い夏休みだけの臨時のモノで、本来ならもう顔を合わせずに済む筈だったのだが、人手不足やら何やらで、二人とも一度寮を出てから強引に呼び戻され、不幸にも今だに一つ屋根の下(?)で暮らしていたりする。 まあもっとも、耕治には信じられない事に、この凶暴な生物が”あの娘”の姉であり、彼があの娘と付き合っている以上、完全な縁切りなど望めないのだが・・・。 「変質者! 強姦魔! 甲斐性無し!」 「暴力女! ブス! ヒステリー女!」 あずさの相手をしている男・・・前田耕治は、険悪な口調はいつものまま、しかし頭の中は妙に浮かれた状態で、ほぼ条件反射で言い返している。 長身でそこそこ良い体をした、どちらかといえばいい男に分類される少年・・・と呼ぶか青年と呼ぶか、微妙な年頃の彼にとって、今日は”特別な日”なのだ。 心が凍るような中傷も、もはや聞き慣れた事もあり、少しやかましいBGMにしか聞こえていない。 「何であんたなんかをミーナは・・・今日はあの娘とデートするみたいだけど、変なことすれば殺すわよ」 今日あずさが、わざわざ耕治の部屋まで進攻してきた理由は、それを言いたかった為のようだ。 そこだけ口調が低く変わる辺り、かなり本気のようだ・・・が、しかしこの脅迫がいかに無意味な物かは、彼とあの娘しか知らない。 「んなこたぁわぁってるよ!!」 負けずに怒鳴り返しながら、耕治は心の中で舌を出す。 「(こいつの言う”変なこと”なんて、コイツの妹・・・美奈とデートの日は、毎回しているんだよな)」 「ふうっ・・・お姉ちゃん、何でこんなにお兄ちゃんと反発するのかな・・・」 中から怒鳴り声の聞こえるドアの前に立った、話題に昇っている少女・・・日野森美奈は、近づいた為に内容も判別できるようになった口喧嘩を聞いて、ため息を漏らす。 あずさは美奈にとって、優しくて綺麗で頼りになる自慢の姉であり、耕治も少し・・・いやかなりHなトコを除けば、理想的ともいえる恋人である。 ここ最近の美奈の、唯一にして最大の悩みは、彼女にとってかけがえのない二人が、この通り”凄まじい仲”なことであった。 それでも二人は、本気で憎み合っている訳ではない・・・それは分かっているのだが、自分にとって大事な人同士が、毎日派手な喧嘩をするのを見るのは、気分の良い物である筈もない。 美奈はもう一度、大きなため息を付いた後、意を決して呼び鈴に手を伸ばした。 そろそろ美奈の訪ねてくる時間が近いことに気付いた耕治は、天敵との不毛な舌戦も飽きたので、今日はこの辺で切り上げることにした。 この恒例行事を収拾する方法だが、彼があずさを軽く挑発して頭に血を上らせ、往復ビンタをわざと喰らい・・・抜く手も見せない彼女の平手をかわせる者などいないのだが・・・正当防衛と言う名目で頭突きかチョップを叩き込み、”動かなくする”のが最も手っ取り早い。 それを実行すべく、それまで適当に済ませていた反撃を本格化しようとした時、耕治の部屋の呼び鈴が鳴り、それと同時にあずさの口撃がピタリと止む。 「あら・・・もうミーナが来たようね。 さっき言った事、忘れないでよ」 あずさは一方的に言い放ち、振り返って玄関のドアを開ける。 そこには二人の予想通り、美奈が不安げな顔をして立っていた。 顔の造りが姉妹だけにあずさとどこか似ている、実際の歳より2・3歳は幼く見え、髪は肩辺りで切り揃えてヘアバンドでまとめており、優しさと温かさ、それに儚げな印象を感じる可愛い娘だ。 気の強さと凶暴性がにじみ出ている(ように耕治には見える)姉とは大違いである。 「お姉ちゃん・・・またお兄ちゃんと喧嘩してたの?」 「そんなことないわよ、ミーナ。 ちょっと耕治に用があって、立ち話してただけよ」 「そうそう、いつもの普通の会話だったよ」 御町内に響き渡るような声で怒鳴り合っては、当然ドアのすぐ外なら会話は筒抜けだっただろうが、二人は示し合わせたように、白々しい笑顔で美奈に語る・・・まあ彼らの間では、言い争いが”普通の会話”なのだが。 少しお人好しの美奈にもバレバレな嘘だが、揃って笑顔を見せた二人が一応仲直りしたと思った彼女は、ようやくいつもの春の日差しのような笑みを浮かべた。 六時間に及ぶ不毛な論争や、どちらかが動かなくなるまでの泥沼な格闘戦を日常としている、犬猿の仲や天敵を通り越して、親の敵同士のような耕治とあずさだが、美奈の前では即座に休戦するというのが暗黙の了解だ。 何もかも反発し合う二人だが、無垢で純粋な美奈を守りたいという思いだけは共通だった。 「じゃあ耕治、あたしはもう出かけるけど、ミーナのことお願いね」 「おう、任せておけ」 耕治はにこやかに返事をするが、無論先刻の戯言を守るつもりなど毛頭ない。 「気をつけてね、お姉ちゃん」 彼と並んであずさを見送る美奈だが、心の中では少し寂しさを感じていた。 耕治や美奈、あずさの通う学校全部が、偶然・・・というより学校同士の談合(?)だろうが、同時に創立記念日で、バイトのシフトも外れている今日、美奈が”凄まじい仲”の姉と彼氏の関係を少しでも修復しようと、3人一緒でどこかへ出かけようと言い出したのが数日前。 しかしあずさは、何か用事があるとか言って断ったのだ。 耕治は、あずさはひょっとして自分と美奈に気を使ったのか、とも思ったが、「あいつがそんな気の利く性格である筈もないな」と、その考えを打ち消した・・・が、美奈はそうだと確信していた。 「んと、まずは出かける前にお昼作るね、お兄ちゃ・・・・・・あっ!?」 気を取り直し、靴を脱ぎながら言う美奈の小さな肩を、耕治はそっと抱き寄せる。 先刻も明記したが、今日は彼にとって特別な日なのだ。 キュートでラブリーな彼女・・・美奈と一緒の休日というのもあるが、それだけではない。 今この寮は彼と美奈の二人きり、しかも今日彼女は、偉大なる(?)基礎体温法によると、『大丈夫な日』である! 「(今日は”ナマ”で出来る! 隣人に気を使う必要なくナマで出来る! ホテルの御休憩時間も心配せずにナマで出来る! 何発でもナマで出来る! 一日中ナマで出来る!!)」 耕治の頭の中では、数日前からこの事実がぐるぐる回っていた。 こんな思考の持ち主の彼も、一部の方はご存じの通り、かつては純愛系AVGの主人公だったが、とりあえず今は、可愛い美奈とどんなHをするか、しか頭にない。 「(バカ・・・強情・・・ブキッチョ・・・頑固者・・・)」 駅に向かって歩きながら、あずさは頭の中で自分を罵倒し続けていた。 今日は用事があると二人には言ったが、本当は特に予定など無い。 幸せそうな耕治と美奈を、一日中見るのが耐えられないと思ったのだ。 彼女と耕治の初対面は、最悪の物だった。 夏休み初日、バイトの面接に急いでいたあずさに、駅前で激突した男・・・それが耕治だ。 倒れ込んだ拍子に胸を触ったり、捲れたスカートの中を覗いたり、彼女の父親の形見のロケットを「安物」と馬鹿にしたりと、とりあえず第一印象であずさのコロスリスト筆頭に抜擢された男は、偶然か不幸か運命の悪戯か、彼女と同じくファミリーレストラン「Piaキャロット」に、夏期限定のアルバイトとして採用され、更に同時にそこの社員寮へ入居したのだ。 我が身の不幸を呪ったあずさは、半ば本気で彼を寮やバイト先から追い出そうと、毎日思いつく限りの嫌がらせ攻撃を仕掛けるが、彼も一歩も引かずに対抗し、二人の仲は更に凄い事になっていく。 長期戦を予想したあずさは、有名な「敵を知れば百戦危うからず」という格言に従い、彼女なりに耕治の事を観察・研究し、彼女にはごく偶に、彼女以外の者には当然のように見せる、別人のように優しい表情が、彼の本当の顔と知った。 だからこそ大事な・・・溺愛していると言って良い、妹の美奈が彼と親しくなっても、強引に引き離そうとはしなかったのだ。 毎日顔を合わせ、毎日喧嘩をし、それでも翌日に遺恨を残さず、自分の思っていることを遠慮なく言える・・・あずさは、そんな同い年の少年のことを四六時中考えている自分に、ある日突然気付く。 それを恋慕と自覚した時、既に彼の隣には美奈がいた。 自分の心に気付かなければ、本音で言い合える友人を失わなくて済んだのかもしれない・・・だがその日以来あずさは、耕治だけでなく美奈にも、必要以上に心の”壁”を作るようになった。 今のあずさは、自己嫌悪の塊だった。 妹の初の恋人を好きになり、彼とは今まで以上に険悪な仲になっただけでなく、彼の笑顔を独占できる妹に嫉妬し、妹の笑顔を独占できる彼に嫉妬している・・・そんな真っ暗な心の自分が、たまらなく醜いと感じる。 暗い思考を何とか切り替えようとした彼女は、自分が手ぶらな事を思い出す。 「(ハンドバック、忘れちゃった・・・別に必要な物は入っていないけど、確か財布もあの中に入ってたな・・・)」 出かける二人とはち合わせるかも、と少し迷った彼女だが、お金なしで時間を潰す方法が思い付かなかったので、一旦寮に引き返すことにした。 美奈は耕治を『お兄ちゃん』と呼んでいるが、当然二人は兄妹でも何でもない。 物心付く前に両親を亡くし、姉しか肉親のいない美奈は、幼い頃から本当の家族が欲しいと思っていた。 美奈とあずさを育ててくれた叔父夫婦は、実の子がいないこともあり、二人を本当の娘のように扱ってくれていたが、それでも美奈の思いは満たされることはなかった。 そんなある日、バイト先で一緒に働くようになり、勉強を教えて貰ったりして親しくなった耕治が、彼女の思い浮かべていた理想の”兄”の幻影とそっくりなことに気付く。 「お兄ちゃんと呼んで・・・良いですか?」 その言葉を彼に言ったとき、美奈は自分がとんでもなくわがままな願いをしたと後悔したが、彼はあっさり快く受け入れてくれる。 そんな優しい年上の少年を、仮の兄でなく男として好きになるのに、そう時間はかからなかった。 彼への想いが美奈の中で変化してから、一時は名前で呼ぶようになったが、兄妹ではなく男女として付き合うようになって暫くして、いつの間にか再び彼を「お兄ちゃん」という愛称で呼ぶようになっていた。 耕治は美奈を、肩に手を回したまま室内に案内し、部屋の中央辺りで優しく抱きしめる。 「お兄ちゃん・・・」 小柄な身体が耕治の胸の中に収まると同時に、美奈は全身の力を抜き、甘えた声で自分だけに許された愛称で呼ぶ。 自分に全てを委ねた、可憐な美少女・・・それを再認識しただけで、耕治はたまらなくなってきた。 「美奈・・・」 耳元で名前を囁き、そのまま互いの顔を近づける。 「ん・・・」 美奈は目を閉じ、30cm近い身長差を埋めるために背伸びをし、可愛い唇を軽く突き出す。 薄く開けた唇の間から僅かに見える白い歯が、耕治には何故か非常に愛おしく感じ、一瞬だけ見惚れた後、二つの唇が重なる。 「んっ・・・んっ・・・んっ・・・んふぅっ・・・」 啄むようなキスを何度かした後、互いの唇を密着させ、耕治の舌が美奈の口の中を犯す。 「んっ・・・んふっ・・・」 美奈は抵抗せず、それでもまだ遠慮がちに舌を絡め返し、耕治の背中に手を回して身体を密着させた。 舌と舌、唾液と唾液が混ざり合い、二人の頭の中が熱くなっていく。 「んむっ・・・んっ・・・んっ・・・ふはぁっ・・・」 2分強後、ようやく美奈の唇が解放されると、赤く上気した顔で、潤んだ瞳を耕治に向ける。 二人が出会って3ヶ月、正式に付き合いだして2ヶ月ほど・・・お互い表情だけで、ある程度意志の疎通が出来るようになったが、 「(これは明らかに”OK”の目だ!)」 さすがにいきなりはヤバイかと思っていた耕治は、彼女の顔でそう確信した。 美奈の口から一筋垂れる唾液を、耕治の指先が拭う。 「もうっ・・・そんないきなり・・・まだお昼なのに・・・んっ」 やんわりと拒絶する美奈だが、またキスで口を塞がれ、小さな身体を壊れ物を扱うように優しく抱き上げられると、全てを受け入れて大人しくなる。 わざわざ彼のために基礎体温を測っている美奈は、当然今日は”そのつもり”だったが、来た早々押し倒されるとは思っていなかった。 それでも全く無抵抗な、だが心の準備が完全ではないため、胸の中で少し不安げな顔を見せる美奈を、彼はベッドにそっと下ろす。 何度も美奈にキスをしながら、よそ行きの服がシワにならないよう、慎重に1枚ずつ脱がしていく耕治。 「・・・あっ・・・」 もぞもぞと動きながら、服を脱がされるのに協力していた美奈が、下着が彼の視線に触れると、恥ずかしそうに小さな声を上げた。 美奈の精神のように純白の、だがレース生地の凝った高価そうな、見せる事を前提にしたブラジャーとショーツ。 「カーテン・・・閉めて・・・」 何度身体を合わせても、相手が好きな男でも、明るい場所で肌をさらすのは、美奈には抵抗があった。 小柄な身体を更に縮め、遠慮がちに彼女は言う。 「・・・ああ」 耕治は一旦美奈の身体から離れ、窓のカーテンを閉めるが、日中・・・しかも午前中なので、当然室内は薄暗くなっただけだ。 それでも少し安心した美奈は、はにかんだ笑顔を耕治に向けた。 美奈と離れる時間が一瞬でも惜しい耕治は、手早く服を脱いで全裸になり、即座に覆い被さると、白い肌に指を這わす。 「あ・・・ん・・・」 滑らかな脇腹から胸にかけてを愛撫されると、美奈の口から小さな喘ぎ声が漏れ始めた。 「・・・・・・美奈?」 忘れ物を取りに部屋に戻ったあずさは、微かに妹の声を聞いた気がした。 気のせいか・・・と思った瞬間、意識を集中した聴覚が、今度ははっきりと美奈の小さな悲鳴を捉える。 寮の左隣・・・耕治の部屋から、壁越しに聞こえるその声は・・・ 「(・・・いや・・・違う?)」 最初は悲鳴かと思ったが、恐怖や苦痛とは明らかに違う物だった。 「ん・・・あん・・・」 甘い響きを含んだ、言葉にならない言葉・・・あずさがその声の意味に気付くのに、1分近く時間がかかった。 いや、気付きたくなかったのかも・・・彼女の脳が、それを認めるのを拒否したのかもしれない。 「んむっ・・・んふぅ・・・あっ・・・」 耕治が美奈の唇を吸いながら、ブラジャーをたくし上げると、控えめな乳房が露になる。 掌に収まる程度の白い双丘の上に、桜色の小さな乳首が一つずつ。 お世辞にも大きいとは言えない・・・いや、美奈の年齢の平均よりずっと小さいだろうが、たぶんこの世で最も美しく可愛いおっぱいだろう・・・耕治にとっては。 彼の両手が、まだ堅さの残る乳房を、無用な痛みを与えないように、優しく撫でるように揉む。 「はあっ・・・あっ・・・」 美奈の細い肢体が、愛撫に反応してぴくぴくっと震える。 小さなおっぱいは敏感だという俗説がある・・・美奈以外の女性を知らない耕治には、比較する相手もいないが、それは多分ホントだろう、と彼は思う。 「ひんっ・・・あっ・・・はぁっ・・・あぁぁんっ・・・!」 興奮して勃起してきた乳首を、片方は指先で弾き、もう片方は摘んでクリクリ刺激されると、美奈は甲高い声を上げ、面白いくらいに反応した。 耕治は、そのまま右手を口と交替し、舐めたりしゃぶったり甘く噛んだりしながら、空いた右手は身体の中心をなぞって下へ向かい、おへそを経由してパンティの上から秘処に振れる。 「あひゃぁっ!」 ソコに触れられると同時に、美奈は悲鳴のような声を上げ、細い腰を仰け反らせた。 「触る前から濡れてるよ・・・美奈」 「やぁん・・・言わないで・・・恥ずかしいよ・・・」 言った彼も恥ずかしいセリフを、(顔を見ながらは言えないので)耳元で囁くと、美奈は上気した頬を更に赤くして呟く。 そこは既に美奈の愛液を含み、シルク越しにも濡れていることが分かった。 「あうっ! はっ・・・あんっ・・・・・・ふあっ!」 布地の上から秘裂をなぞると、美奈の喘ぎ声と共に、どんどん湿りけが増していく。 男と女が付き合うと言うことは、こういう事もする関係になる・・・あずさも子供ではないので、頭では当然理解していた筈だが、何故か彼女は、美奈にその常識が当てはまるとは、微塵も思わなかった。 それは彼女が、心の隅で男女の営みを嫌悪していた為、幼い頃から自分が守ってきた、無垢で清らかで明るい妹が、ソレをする場面を全く想像できなかった為かもしれない。 「あぁぁぁんっ・・・お兄ちゃぁんっ」 しかし今、隣の部屋から聞こえる妹の声は、明らかに性的な歓喜に震える”女”の声。 「可愛いよ、美奈・・・」 当然相手の声は、彼女のよく知る少年。 「(そんな・・・ミーナ・・・耕治・・・)」 頭を鈍器で殴られたような衝撃を、あずさは感じていた。 濡れたショーツが、滑らかな腰のラインに沿って降ろされる。 「んっ・・・」 美奈は恥ずかしさに頭がクラクラしながらも、お尻を少し上げて協力した。 隠す物のなくなった足の付け根には、性器を保護する役目を果たしているのか疑問なほど薄い陰毛が、愛液に濡れて肌に密着していた。 ぴったり閉じた太股の間に、耕治の両手が進入し、ゆっくりとこじ開けられる。 「やぁっ・・・」 美奈は小さな声を上げ、反射的に足に力を入れるが、どちらにも抵抗の意志はこもっていない。 その秘められた部分には、まだ襞の露出のない割れ目が軽く綻び、間から露に濡れて光る鮮やかな肉色を見せていた。 耕治が何度も見たソレは、何度見ても心を奪われるほど美しい。 「あぁ・・・」 美奈は、強烈な羞恥心と共に、愛する者に全てを見られる喜びも自覚していた。 甘えん坊で、泣き虫で、常に目を向けていないと不安になる、この世でただ一人残された”本当の家族”である妹。 意地悪で、性格が悪く、しかし誰よりも優しい、絶対無視することの出来ない同い年の少年。 自分の最もかけがえのない二人が、壁1枚挟んだ向こうで交わっている。 それを思うと、あずさの下腹部に熱がこもってきた。 「・・・・・・あっ・・・」 気が付くと、自分の指が股間へ向かっている。 「ふあっ!」 ジーンズ越しに局部に触れただけで、あずさの背筋を電流のような衝撃が走った。 「んっ・・・ふっ・・・あうっ・・・」 デニム生地と下着越しに、指が股間の中心を前後する度、押し殺しきれない喘ぎ声が漏れる。 耕治は、美奈の股の間に頭を入れると、白い太股の間に咲く、桜色の蜜が滴る可憐な花・・・いや蕾に、そっと口付けする。 「やあっ、そこ・・・は・・・はうんっ!」 恥ずかしい場所に熱く柔らかい物を感じ、美奈は彼の頭を抑えて可愛い声で鳴く。 実際そんな筈はないだろうが、耕治の舌は確かに甘い味を感じた。 膣穴に浅く舌を入れて、美奈の胎内を味わった後、少し上に付いている小さな肉の突起を舐め上げる。 「はひゃぁっ!」 最も敏感な場所をいきなり責められ、美奈は悲鳴に近い嬌声を上げる。 その声を心地よいと感じながら、耕治の口が堅くなっていた肉芽の包皮を唇で剥き、吸ったりしゃぶったりする。 「ああっ・・・あぁぁぁぁぁんっ!」 与えられる強烈な刺激を、美奈の脳は確実に”気持ち良い”と判断する。 快感を声と表情に出す美奈の顔を上目で見ながら、フェラチオをして貰う時はコレくらい気持ちよさを表に出すと、美奈も今の自分みたいに嬉しいのかと、耕治は興奮して熱くなった頭で、ぼんやりと考えていた。 邪魔になってきたジーンズを腰から引きずり降ろすと、股間の位置がビッショリと濡れていた。 その下に履いているショーツがどういう状態かは、当然言うまでもない。 「あぅんっ・・・はあっ!」 下着の中に手を突っ込み、ぐしょ濡れのソコを指で直接触ると、それまで以上の快楽があずさ全身に走る。 「はあぁっ・・・ミーナ・・・耕治・・・」 壁に耳をへばり付け、浅ましく股間を愛撫する自分を見たら、二人はどんな顔をするだろう。 罵るだろうか・・・軽蔑するだろうか・・・ 激しい罪悪感と背徳感を覚えながら、それでもあずさの指は止まらない・・・いや、更に加速していく。 ソコが蜜と唾液で十分に濡れると、耕治は口を離して美奈の上に乗り、入れ替わりに先程から暴発寸前になっていた、自分の分身を押し付ける。 「・・・・・・お兄ちゃん・・・」 身体から力を抜いて、挿入に備える美奈。 しかしすぐには挿入せず、自分のナニを美奈のソコに擦り付け、棒の方も愛液で濡らす。 女としてまだ未熟な美奈に、少しでも苦痛を与えない為の、耕治なりの配慮・・・のつもりだったが、 「あんっ・・・お兄ちゃぁんん・・・」 焦らされたと思った美奈は、腰をくねらせて甘い抗議の声を上げた。 その淫らで可愛い様子に、耕治は思わず苦笑する。 「Hだな、美奈は」 耕治の言葉で、自分の行動が凄まじく淫らなことに、美奈はようやく気付く。 「そんな、美奈、Hじゃ・・・ああっ!」 我に返った美奈の声を遮って、期待に膨らんだモノが、熱くきつい胎内にゆっくり押し込まれた。 美奈の小さなソコは、強い抵抗を示しながらも、十分分泌された愛液を潤滑油に、何とか耕治の男を受け入れていく。 「あっ、ああっ! ふわぁぁんっ・・・んんっ!」 声にならない声を発する美奈の唇を、耕治の唇が塞ぎながら、二人は完全に繋がった。 「あっ・・・はぁっ・・・ああっ」 あずさが激しく指を動かす度に、じゅぷじゅぷと淫らな水音が立つ。 「はっ・・・はっ・・・はぁっ・・・はっ・・・はあっ・・・ああっ・・・」 隣から聞こえる声と、自らが発する音・・・この二つの音が、聴覚からあずさを狂わせていく。 湿った布の感触が気持ち悪く、下着も尻から降ろす。 膝から下に残ったジーンズとスキャンティーが、拘束されているような錯覚を感じさせ、更にあずさは倒錯した快楽を覚える。 「はあぁぁっ!」 解放された局部を右手で愛撫しながら、左手でブラウスの上から乳房を揉む。 「ふあっ! あっああっ・・・!」 形が変わるほど乱暴に揉むと、痛みと共に強い快楽が沸き上がった。 「んふぅっ・・・」 耕治の分身が最奥に辿り着くと、美奈は口を塞がれたまま、安心したような声を出した。 二人はそのまましばらく、口と下半身同時に深く繋がった後、口だけ離れ、目の前数cmで見つめ合う。 「痛くない?」 「・・・うん・・・」 初体験以来、耕治が毎回聞いてしまう質問に、美奈は笑顔でいつもの答えを言う。 常に相手の身体を気遣う耕治の愛撫で、美奈の身体は数回で挿入に慣れ、今では完全に苦痛より快楽の方が優っていた。 二人はもう一度、今度は軽いキスをすると、耕治が腰をゆっくり動かして、美奈の胎内を行き来し始める。 「あっ・・・ああっ・・・」 耕治にしがみつく美奈の口から漏れる声は、明らかに苦痛の物ではない。 彼は美奈の反応を見ながら、少しずつ自分の腰を加速させていく。 「ああぁっ・・・ああぁぁっ!」 それに合わせて、美奈の声のトーンも甲高くなる。 「ああぁっ・・・ああぁぁっ!」 美奈の甲高い声に、ギシギシとベッドの軋む音が混じる。 隣から聞こえる、激しくなっていく行為の声と音が、さらにあずさを高めていく。 どうしようもない衝動に動かされて、乱暴にブラウスとシャツを脱ぎ捨て、ブラジャーも外す。 巨乳と言うほどではないが、美奈よりもずっと豊かで、”女”としての魅力十分な量感の乳房が、弾けるようにこぼれて若々しい張りを示す。 「んふぅ・・・ふうっ・・・」 露になった胸を手で直接、さらに激しく揉み、先端で既に尖っていた乳首をこねくり回す。 「ふあぁっ!・・・あっ・・・」 思わず上げた高い声を、あわてて抑える。 息を潜めて隣の音を伺うが、どうやら気付いた様子がないことを確認すると、なるべく声を出さないよう注意しながら、不毛な行為を再開した。 耕治は腰の前後運動を少しずつ早くしていき、同時に回すような動きも加える。 「あうっ! はあっ・・・ふあぁっ!」 美奈もぎこちない動きで、彼に会わせるように腰を突き出す。 「良いよ、美奈・・・もっと動いて」 「はうんっ! お兄ちゃぁん・・・ふぅっ・・・」 耕治の指示に、快楽に染まった身体が素直に従い、美奈の動きがどんどん淫らになっていく。 美奈が耕治の背中に回した手に力が入り、二人の身体が更に密着すると、両乳首と淫核の3つの突起が彼の身体で擦れ、更なる刺激を美奈に与える。 二人が腰を振るタイミングが合い、更に大きく激しく肉棒が美奈の胎内を行き来し、濡れた肉の擦れ合うグチャグチャという音が、激しさを増す。 「はっ! ふはっ! はうっ! んはっ! はうっ!」 熱く絡み付く美奈の肉が、肉の棒に溶けそうな快楽を与える・・・ 胎内を行き来する耕治の分身が、身体の芯まで響く快楽を与える・・・ 美奈も耕治も、お互い強く抱き締め合い、少しでも肌の接する部分を増やそうとしながら、夢中になって腰を動かし続けた。 「んはぁっ! ふあっ・・・ああっ」 もはやあずさは、声を抑えるのも忘れて、盛大によがりまくっていた。 自分で自分を愛撫しながら、今年の夏、バイト先のメンバーで海に行ったとき見た耕治の身体を、記憶の奧から引き出す。 日焼けして赤くなった肌、適度に厚い胸板、引き締まった腹・・・少年から男として成熟しつつある、海パン一枚しか身につけていない身体。 それと同時に、姉妹の気安さで見る機会の多い、美奈の身体を思い出していた。 白く滑らかな肌、細い手足、成長途中の可愛い乳房、小さなお尻・・・同性の自分が見ても、思わず息を飲むほど綺麗な、妹の肢体。 あの美しい二人が愛し合う姿を、二人の身体の視覚記憶と、今聞こえてくる声を使い、頭の中で思い描く。 その美しい二人を、想像の中で汚すことの背徳感・・・その想像通り、二人が隣の部屋で交わっているという事実・・・妄想の相乗効果で、あずさの精神は狂いそうなほどに興奮していく。 「あぁぁぁっ・・・耕治ぃ・・・ミーナぁ・・・!」 右手は膣穴に中指を深く出し入れしながら、親指で肉芽を擦り、左手は切ないほど勃起した乳首を摘みながら、乳房を揉み上げる・・・精神の興奮を、指が的確に身体の敏感な部分へ伝える。 「はっ! ああっ! ふあっ! はあっ!」 床に転がり腰を高く掲げた姿勢で、指の動きに合わせて尻を振り、恥も外聞もなくよがり声を上げる・・・もはやそこに普段の聡明な美少女は存在せず、ただ発情した雌が自慰に没頭していた。 「いい・・・良いよ・・・お兄ちゃん・・・美奈、気持ち良い・・・はうっ!」 「ああ・・・俺も気持ち良いよ・・・最高だ」 下からしがみついてきながら、快楽を訴える美奈に、耕治も素直な返事を返す。 その言葉通り、この日のために4日間溜めていた彼の精は、今にも爆発しそうだった。 美奈もイかせてやりたいと思っていた耕治だが、どうやらもう限界のようだ。 最後の瞬間に向けて、腰の動きを早く小刻みに変え、ラストスパートに入る・・・が、その瞬間、 「イく・・・お兄ちゃん・・・美奈、もうイっちゃう・・・」 美奈が腕と膣で耕治を締め付けながら、すぐ手に届くまで絶頂が近づいたことを訴える。 耕治は以前、冗談混じりで「イク時は言葉に出して言うんだよ」と教えたが、美奈はそんな戯言を素直に守っていた。 「(そんな可愛い彼女がイきそうなのに、一人で満足しては男が廃る!)」 謎の使命感に燃えた耕治は、発射寸前の精を何とか封じて、美奈の膣内を激しく抉る。 「はうぅ! あはぁっ! ふあっ!」 耕治の激しい動きに、どんどん昇り詰めていく美奈。 美奈の嬌声を聞きながら、早くイってくれと願う耕治。 時間にしては数十秒程度の、だが耕治の感覚的には凄まじく長い、苦行に近い我慢の後・・・ 「イク! イっちゃう! お兄ちゃん! 美奈、イくぅぅっっ!!」 彼が待ちこがれた声を上げながら、美奈の全身に凄まじい衝撃が走り、快楽の頂点に達する。 「(美奈のイク時の顔は、最高に可愛い・・・まあ美奈は、何時でも何処でも可愛いけど・・・)」 そんな事が耕治の頭の中を掠めると当時に、彼も絶頂した膣の締め付けで一気に達し、溜め込んでいた精液が尿道を昇る一瞬で美奈の最奧を突き上げ、遠慮なく子種を子宮口に吐き出した。 「あっ・・・お兄ちゃんが・・・入ってくる・・・ふあっ!」 腹の奧で熱い体液を受け止めた美奈は、その感触で更に上の高みに昇る。 搾り上げるような膣の動きに促され、耕治は腰を振りながら何度かに分けて、更に大量の精液を美奈に注ぎ込んだ。 「イく! イっちゃう! お兄ちゃん! 美奈、イくぅっっ!!」 美奈の甲高い声が、あずさに絶頂を伝える。 それを聞くと同時に、あずさは自分の淫核と乳首を強く摘む。 「私も・・・イくっ! ミーナ・・・耕治ぃっ!」 妹の嬌声と、痛みに近い刺激が、あずさを一気に頂点へ押し上げた。 「ん・・・はうぅ・・・」 絶頂で硬直した美奈の身体から一気に力が抜けて、心地よさそうな吐息を吐く。 たっぷりと射精した後も、耕治のナニは美奈の中で萎えずに硬度を保っている。 互いが身体を少し動かす度に、射精の一瞬で終わる男のソレと違う、長く続く女の絶頂の余韻を感じ、美奈がぴくんぴくんと耕治を締め付け、刺激する。 彼はその感触を楽しみながら、興奮して体温が上がった、荒い息を吐く美奈の肢体を撫で回し、次はどうやって美奈を悦ばせてやろうか考えていると、ナニが更に大きくなってきた。 「あっ・・・」 自分の胎内を埋めるモノが膨らむのを意識した美奈が、耕治の腕の中で肢体をくねらす。 「もう一度、良いだろう? 美奈」 「・・・・・・・・・うん・・・」 恥ずかしそうに・・・でも隠しきれない嬉しさを含んだ表情で、美奈は頷いた。 興奮が冷め、正気を取り戻したあずさは、強烈な自己嫌悪を感じていた。 火照った身体が冷めていき、寒気を感じたあずさは、ベッドに上がり膝を抱えて座ると、布団を頭から被る。 それでも寒さは防げず、それが身体でなく心の寒さのように感じ、あずさは声を殺して泣き始めた。 「(汚しちゃった・・・私の一番大事な存在を犯しちゃった・・・取り返しの付かないことしちゃった・・・)」 好きな男と大事な妹が愛を確かめ合う場面に、汚い自分が土足で上がり込んだ・・・自分の身勝手な欲望で、二人の神聖な愛の儀式を犯した・・・あずさには本気でそう思えた。 自分が酷く憎かった・・・醜かった・・・惨めだった。 「あんん・・・お兄ちゃんんん・・・」 「美奈・・・」 暫くすると、隣からまた二人の愛し合う声が聞こえてくる。 それを聞いていると、あずさの意志とは無関係に、再び下腹部が熱を帯びてきた。 「(・・・・・!! もうイヤ! 私なんて死んじゃえ!!)」 勝手に反応する自分の身体が無性に忌まわしく、あずさは心の中で叫ぶ。 泣きながら、ベッドの上で更に小さくなり、力一杯耳を塞ぐあずさ。 哀れな彼女とは対照的に、耕治と美奈は何度も肌を合わし、心も身体も満たされていった。 |
Piaキャロ2R 第1話「壁一枚」 |
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